2013年4月19日金曜日

自分の頭で憲法を考える


井上ひさしさんは『二つの憲法』にこう書いています。「他人(ひと)の頭でではなく、自分の頭で憲法を考える。そのための知恵を、いささかでも備えておきたいのです。」

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去る3月9日、私は、武蔵野公会堂で行われた、女性「九条の会」8周年のつどいで「憲法前文」の朗読をする機会をいただきました。そこで、私は生まれて初めて、真剣に「憲法前文」を読みました。そこに何が書かれているとおもいますか?皆さんにもぜひあらためて読んでいただきたいです。意味を理解するために、子どものための「わたしたちの憲法」も併せて載せます。自民党「憲法改正草案」と比較してみて下さい。声に出して読み比べるととてもよく分かります。同じように見えて大きな違いがあります。現行憲法には国民を主体に理念と格調の高さ、強い決意がありますが、改正草案はどうでしょうか?安倍首相の言う「憲法を国民の手に取り戻す」という言葉を安易に鵜呑みにせず、自分の頭でしっかりと考えたいと思います。

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●「日本国憲法」
(前文)
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

●「憲法のこころ」

 わたくしたちは、人類の平和と世界の国ぐにのしたしいまじわり、民主主義と自由をたいせつにすることこそが、わたくしたちを幸福にしてくれるものであることを信じて、この憲法をつくりました。だから政府のまちがったおこないのおかげで、むごたらしい戦争がおこるようなことは、けっして許しません。
 わたくしたちは、わたくしたちじしんが、ほんとうに幸福になるような政治がおこなわれるようにするには、どうしたらよいか、それをきめる力は、わたくしたち国民にあることをかたく信じます。これは、世界中の人びとが信じていることでもあります。だからわたくしたちは、この考え方にあわない憲法や法律や詔勅は、いっさいみとめません。
 わたくしたちは、いつも、この「国民主権」という考えかたにしたがって、わたくしたちの代表(それのそうだん)による政治をおこなうことにします。
 わたくしたちは、世界が、いつも、またいつまでも平和であることを、心からねがいます。そして、世界のどんな国ぐにの人も同じねがいを持っていることを信じます。だから、世界中の人びとの真実と正義を愛する心に信頼して、わたくしたちが安全にくらしていく道をみつけだしたいとおもいます。わたくしたちが戦争をしないこと、戦力をもたないことを、この憲法にきめるのは、そのためです。わたくしたちは、平和ななかで、平等なつきあいのなかで、おたがいの国ぐにが、明るく、楽しくくらしていこうと努力している人類の仲間として、はずかしくない国民になることをちかいます。
 わたくしたちは、それぞれの国ぐにの人たちが、じぶんの国の主権をたいせつにしなければならないとおもいます。また、他の国の主権をたいせつにしなければならないと考えます。だから、じぶんの国の利益と幸福だけを考えて、他の国の利益と幸福を忘れるようなことがあってはなりません。あくまでも平等という考えかたで、おたがいのつきあいをしていきます。
 わたくしたちは、日本の国の独立をほこるとともに、他国の独立を尊重します。そして、おたがいの利益と幸福のためにつくられた国際間のやくそくや習慣をかたく守って、全世界の人びとのよい仲間になりたいとおもいます。
 わたくしたちは、日本の名誉のため、ありったけの力を出して、この憲法のこころを、じっさいに生かしていくことを、おたがいどうしと世界の人びとの前に、ちかいます。
(有斐閣「わたくしたちの憲法」宮沢俊義・国分一太郎著より)


●自民党「日本国憲法改正草案」
(前文)
 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政、司法の三権分立に基づいて統治される。
 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
 日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

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自民党が出している「憲法改正草案」PDF文章を手に入れて現行憲法と比較して読んでください。
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/116666.html
自分で読んでも分からない時は、勇気を出して憲法の勉強会や講演にいってみてください。とてもよくわかります。




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art unit ai+ 実験公演
マリヴォー「いさかい」
La dispute de Marivaux

【原作】マリヴォー【構成・演出・出演】金子あい【音楽・演奏】永田砂知子
【美術】 トクマスヒロミ 【照明】横原由祐

【日時】
2013年(全5回公演、開場は開演の30分前)
6月12日(水) 19:30開演
6月13日(木) 14:00開演/19:30開演
6月14日(金) 14:00開演/19:30開演

【会場】
Performing Gallery & Cafe 絵空箱  http://esorabako.com/
(地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅1番出口徒歩2分)
新宿区山吹町361誠志堂ビル1階

【料金】
前売 2,800円/当日 3,300円/学生・研究生2,300円
 (一名につき料金+1ドリンク700円オーダーが必要です。 全席自由)

【前売発売開始】
2013年4月8日(月)  

【主催】art unit ai+

【ご予約・お問合せ】
art unit ai+ (アートユニットアイプラス)
tel:090-6707-1253
e-mail:auaplus@gmail.com

※お名前、ご住所、電話、観劇日時、枚数を明記の上お申込み下さい。



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