俳優座の「沈黙亭のあかり」を観に行きました
山田太一さんが久々に俳優座に書き下ろした作品です
妻の自殺によって
聴こえず喋れなくなってしまった中年男が
沈黙亭という喫茶店兼スナックを一人でやっている
近所のおせっかいな老人や
娘を自殺で亡くした女性
集団自殺を企てる人々
冴えないサラリーマンと
昇進したばかりの大学の後輩、
高飛車で攻撃的な女
やけに明るい警察官
みんなが入れ替わりやってきては
彼を気にかけて
それぞれの思いを吐露していく
あるとき
集団自殺を企てる人々がナイフを手に
喫茶店に立てこもり
マスターと他の客を殺そうとする
自殺ではなく他殺をするというのだ
恐怖の中で
家族の自殺によって残された人々が
心のうちを叫び始める
「自殺は他殺よ」
ここまであらすじを書くのが結構難しい
関係性がひと色でないというか
それぞれに抱えてる事情が沢山あって
簡潔にまとめにくいというか
説明し出したらすごく詳しくなってしまいそうで
大人の芝居でした
印象的なセリフが沢山あって
単純なのに含んでいるものが大きい
見る人によって共感するところはいろいろかもしれません
ベテランの俳優達の確かな芝居が素晴らしかったです
最後にマスターは耳と声を取り戻すんです
一回死ぬことによって
と言っても本当に死んだ訳ではなく
他殺の首謀者が自分はかつて2人殺した
指名手配犯だと告白し(いろいろあって)
マスターを刺すんです
ケースに入ったままのナイフで
「これであんたは死んだんだ
だから生きろ」みたいなことを言う
彼の心を生き返らせたのが殺人犯だった
生きること
死ぬこと
死なれること
生かされること
殺すこと
殺されること
優しさと余計なお世話
成功と失敗
エトセトラ
全てが表裏一体なんだな人生って
そんな風に感じました
山田太一ワールドですね
そうそう、客席には山田太一さんも
座っていらっしゃいました
ご案内下さったK様に感謝です