2013年6月25日火曜日

舞台写真満載!「いさかい」公演を終えて!

容赦なく時間は過ぎて、いさかいの公演が終わってから一週間以上が経ちました。
私は今もまだ、地上から60センチくらい浮遊したままです。許されるならこのままあっちへ行ってしまいたいです。(笑)

今回の公演を終えて、美術家のトクマスヒロミが自身のブログに書いているのをまずはお読み下さい。彼女の軽快な文章から私たちの勢いが感じ取っていただけると思います。
http://to-ku-3.jugem.jp/?day=20130617

さて、何から書けばいいかしら、あまりにたくさんのことが私に起こって、どこから手をつけて良いのか分かりません。

今回の「いさかい」という作品は振り返ってみると、本当に、私たちのユニットとって他のどこにもない特別な作品になったと感じています。

「いさかい」を一人芝居にしたのは(たぶん)本邦初なのではないかと思います。

このユニットは、これまで「平家物語」という作品で、私のいわば「一人芸」と永田砂知子の波紋音とトクマスヒロミの美術空間と横原由祐の照明世界を掛け合わせて、作品を作ってきましたので、いさかいも普通の芝居ではない、私たちのやり方で新しいカテゴリーの作品を作りたいと思っていました。それがまあ、この無謀な計画となったのです。

「う〜ん、たぶん〜〜できるような気がする〜」というかなりいい加減な予感を頼りに、私は10人以上登場する原作台本を、一人芝居用にテキスト・レジ(上演条件に合わせ台本に手直しを加えること)をし始めました。こんなにがっつり戯曲をテキ・レジしたのは私にとって生まれて初めてです。メンバーははたして上手くできるの?という一抹の不安を感じつつも「いいだしっぺはあなたです」という突き放した温かい眼で見守ってくれていました(笑)。ありがとう。

井村順一氏の翻訳台本を読み込み、登場人物の関係を上手く抽出しながら一人芝居に仕立てていく作業は、いったん編み上がった模様入りのセーターをほどいて編み直すようなものでした。色糸がこんがらがってしまわないように丁寧にほどき、元の模様を「まさにそう!それよ!」と感じられるように編み直す。脳内腱鞘炎になりそうでした(笑)。

台本は本番直前まで検討を重ねました。慣れないフランス語原文もあたって、辞書を片手に自分なりに訳し直した箇所もあります。しまいにはフランス語がしゃべれるような錯覚に陥りました(笑)。稽古の度にメンバーに「どう?わかる?ねえねえ、おもしろい???」と聞きまくり、それぞれの率直な意見を参考になんとか一人芝居用台本が完成!

さて、いよいよ最初の稽古で立ってみると、「平家の語りと違って、自由にやればいい」という予想とは裏腹に、自由に適当にやっても何も見えてこないという大前提に気づいてしまって一同焦りまくり。かなり演出、動きなどをきっちり決め込んでいきました。とはいえ、語りではなく芝居なので私自身がどれだけ自分で自由になれるかという点も重要!しかも今回は両側からお客様から見られる舞台。きゃー!

このユニットは普段ならお互いタッチしないところまで踏み込んで、物作りができる希少な場です。今更ながら今回の稽古と本番を通じて、本当に私は三度の飯より芝居を作る事が好きなんだなあと思いました。

さて、舞台の模様を再現してみましょう!

この「いさかい」は、18世紀の王侯貴族が、“恋愛においてはじめに不実を働くのは男と女のどちらか?”を確かめるために、生まれたばかりの男女4人の子どもを誰にも合わせないように監禁して育て、19年後の今日はじめて自分以外の異性と同性に会わせて何が起こるかを見るという、本当だったらかなり人権を無視したお話です(笑)。

今回は演技エリアはセンターに配置し、両側からお客様に実験を見ていただくような舞台空間にしました。この橋がかりのような細長いシンプルな舞台!真ん中にエグレが自分の顔をはじめてみる小川があります。


カフェという会場を最大限魅力的に使おう、というのが私達のコンセプトでした。永田さんのピアノが響く中、横原くんの絶妙な明かりが、日常のカフェ空間から非日常の18世紀の芝居の世界へ誘います。

最初に登場する王子とエルミアーヌを、初日はリーディングの形式で差別化しようと思ったのですが、つかみとして硬くてつまらんという意見もあり、2日目からは客席に座ったりグラスを持たせたりしてお客様を巻き込む演出に変えていきました。

物語は4人の19歳の男女の中で、エグレという女の子の目を通して進んでいきます。監禁状態からはじめて外の世界に出て、小川に映る自分の顔を見たエグレ、その美しさにすっかり夢中になり大はしゃぎです。(恥ずかし気もなく自分の顔を「美しくて魅力的!」言っちゃうところがすごい!)




そこへアゾールという男の子が登場します。生まれて初めて見る自分と同じ人種の「男性」。エグレは一目見るなり自分と同じくらい美しいアゾールに夢中になり「ずっと愛する、いつも一緒にいる!!」と誓います。この光っているのが小川です。小川に隔てられた2つのエリアは「別の世界」の象徴にもなりました。



ところが世話係のカリーズからは、「ずっと愛し続けたいなら無関心にならないよう、時には一緒にいる喜びを捨てろ」と忠告されます。そんな事は絶対にないと言い張るエグレ。…実は黒人の世話係のカリーズ役は永田さん!でも永田さんは台詞はしゃべりません。どんなにエグレが話しかけてもクールに演奏するばかり。そのずれた存在感がなんとも味がありました。(本当は台詞を言いたくてたまらなかったらしいですが(笑)。ほら、黙って背中で演技してるでしょ?)。



カリーズに鏡をもらってお気に入りの自分の顔が映り「大発明よ!」と喜ぶエグレ。


しかしだんだん心配になってきてエグレは、アゾールに「辛い目に遭ってみよう、2時間だけ別れよう」と泣く泣く別れます。






ひとりぼっちになったエグレの前に現れたのが、高ビーなキャラのアディーヌ。2人はどちらが美しいかでお互いに口汚く罵り合います。そして腹を立てたエグレは「あんたの恋人メスランとやらを奪い取ってやる」と啖呵を切って去っていきます。さっきまで男の前で可愛かったあの姿はどこに〜〜?!女ってこわ〜〜。




 エグレが立ち去ると今度は、アディーヌの恋人(といっても、実験が始まったさっき会ったばかり!)メスランが登場します。このメスランくんちょっと素朴な中学生みたいないいヤツなんです。自分の恋人アディーヌがエグレというおそろしく不格好な人(←アディーヌに吹き込まれた)に「美しくない」と罵られたと聞くと、こっぴどくやっつけてやろうとエグレ探しに出掛けます。


ところがそこに現れたのが男の子のアゾール。メスランは「君を見ていると元気になる。君と食事をしたら愉快だろうなあ!!」と初めての出会った男同士の友情にすっかり大興奮!飛び跳ねちゃったりして(笑)。男の子って18世紀から単純でかわいいのね…。



そこへエグレが現れます。メスランは予想外のエグレの美しさにすっかり参ってしまいます。エグレも2人目の「男性」(エグレはまだメスランの名前を知らない)を見て、アゾールにはない「新しい魅力」を感じ、一目見るなり自分のそばにいるように誘い(本能って恐ろしい!!)、それに嫉妬するアゾールに向こうへ行くよう冷たく促します。 しかし、アゾールはメスランを連れて行ってしまいました。そのことが気に入らないエグレ。


1人取り残されたエグレは、カリーズに自分の中のもやもやした気持ちがなんなのか、さっぱり分からないとぶつけるうち、浮気心を責められますが、自分が悪いとは全く思いません。ビスケットぽりぽり、私はみんなに愛されるのが喜びなの!と大演説。でも、この心変わりの居心地悪さには満足していません。「自分の心は、この心変わりを良いと言ったり悪いと言ったり、いったいあたしはどっちにつけばいいの??」と悩みます。そして出した結論が「好都合な方を選ぶしかないわ!」うわ、ポジティブ〜!



そこへやってきた2人目の男性(=メスラン)の愛を確かめると、一応「アゾールがいるからあなたを愛さないでおきたいわ〜」なんて言ってみるのですが、その彼がアディーヌの恋人メスランと分かった途端、一転、エグレは獲物を捕らえる野獣のごとく彼を自分のものにします。高らかなエグレの勝利宣言!



そこへとアゾールが姿を現します。アゾールがまだ自分を慕っていると思い込んでいるエグレは、2人の男性を自分のものにする気満々。アゾールに「メスランを愛している。あなたにはもう関心がない」と告白すると、嘆き悲しむどころか、アゾールも「そいつは素晴らしい!大いにやりたまえ、僕ももう君には関心を持たない」といなくなってしまいます。「なにそれ?どういうこと!?」と呼び戻そうとするエグレ。今度はメスランから「なんでアゾールを呼び戻すのさ?」と責められると、「なんであたしが何かを失わなきゃならないのよーっ!」と本音丸出し!世話係カリーズに笑われてぶち切れまくり!そこへ、な、な、なんとアゾールとアディーヌがカップルになって登場!「アゾール!話があるのよ」「メスラン!そっちへ行っちゃダメ!」「なんなのよー!これ?!」とついにぶっ壊れるエグレちゃん。



永田さんのピアノも壊れます!


とうとう、見ていられなくなった貴族のエルミアーヌが入ってきて、実験を止めました。


エルミアーヌは、エグレとアディーヌは女性の中でもおよそ憎むべき2人だと主張しますが、王子は「男性も女性も責められるべきではありません。悪徳も美徳も双方とも等しく持っているのですから」とこの一連の論争に終止符を打とうとします。

と・こ・ろ・が!

エルミアーヌはまたまた「あら、少しは区別して欲しいわ」と蒸し返すのです。
…「いさかい」は続くよ永遠に(笑)。





いかがでしたでしょうか?作品の雰囲気少しは伝わりました?

鳥かご照明と衣装については前掲のトクマスブログをご参照下さいね!

この芝居は、王子とエルミアーヌ、エグレとアゾールとアディーヌとメスラン、エグレと世話係カリーズ、エグレの心の中…いくつもの「いさかい」が絡み合っています。作者マリヴォーは男性の視点で本当によく女性の生態を観察しています。気の多い女性を批判しているようでいて男性のことも同じように茶化しているところが、時代を超えた面白さなのかもしれません。マリヴォーは「女ってさあ」と言いながら、女性の無邪気な気の多さに振り回されつつ、それでもやっぱり惹かれてしまっていたのかもしれません。マリヴォーの描く女性について一番鋭い分析をしていたのが、何を隠そう黒一点の照明横原くん。姉さん達3人が「なんだこの女?」とブーイングしている中で、やっぱり女というものがよく見えているんでしょうね(笑)。そして、世間で「男前」と評判の高い?私はこれまた何を隠そうこんなにきゃわゆい女の子らしい役は生まれて初めてでございました。たぶん実生活でもこんなに可愛かったことはありません。(これを可愛いというならばね!)はい、すみません。


頂いた感想の中でも、「イケメンじゃない方の男の子が気になりました」「見えないはずの他の役が見えました」とおっしゃっていただいたのがとても嬉しかったです。見えないものが見えるなんてもう最高です。
そして、今回相談に乗って下さったマリヴォー研究者のO女史もこの演出を大変面白がって、パリ大学提出の博士論文で私達の作品を取り上げて下さるとのこと、ブラボーです。


永田さんにはできる限り「とぼけた」音をお願いしました。今回はいつもの波紋音はなし。ピアノと様々な打楽器を駆使して音を作って下さいました。永田さんの存在と音が登場人物と離れているほど、彼らのやりとりが滑稽に見えてきます。普段、芝居とほとんど共演しない永田さんの感想が最高におかしかったです。「5回もやって飽きると思ってましたが、毎回芝居が違って飽きませんでした〜」。永田さんが途中で飽きなくて何よりですっ!ありがとうござます!

そう、毎回芝居を変えました。自分の中で少しでも不明瞭なところはお客様の反応を見ながら、毎回メンバーと一緒に変えていきました。当初わたくし、エグレの「恋」というものを噛みしめちゃってたんですが、恋って何回か経験しないと噛みしめないんじゃね?と思い直し、異様なはしゃぎッぷりにシフト。アゾールとのいちゃいちゃもしっかり増やし、なのにアゾールに嫉妬された途端に彼を憎む。そんなところが本番を通してよりはっきり見えてきました。5回目の最終回は、作品の背骨が一本きちんと通ったような気がします。お客様も大受け、どかどか笑いが飛び出し、私も私自身ではなくそれぞれの「役」として舞台で驚くほど勝手気ままに生きていました。そこに到達できたことが役者としては本当に今回の公演をやった甲斐がありました。あああ、いっそ、チケットを回数券にして皆さんに何回も見ていただきたかったですぅ〜!(そんなに暇じゃないって?)

役者と作品に寄り添って美しい明かりを作ってくれた横原由祐に感謝します。

そして、ものすごくシンプルで逃げ場のない美しい舞台空間をデザインしてくれた(その上、この作品を薦めてくれた)トクマスヒロミに拍手を贈ります。あの空間がなければ、作品がここまで成長しなかったと思います。



そして、なんと言っても、お忙しい中ご来場下さった皆様に心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。また、どうぞ、私達の実験劇場をご見物にいらして下さい。
こころよりお待ちしております。

(ああ〜〜長くなっちゃってごめんなさい!)


出演
金子あい
永田砂知子

原作       マリヴォー
翻訳       井村順一
テキスト・レジ 金子あい
演出       金子あい
音楽・演奏       永田砂知子
美術       トクマスヒロミ
照明          横原由祐
ヘアメイク       氣賀澤祀夫理
協力       伊奈山明子
            奥 香織
写真       NOKO
企画・製作       art unit ai+
2013.6.12~14@絵空箱 

2013年6月14日金曜日

あら!あっという間に千秋楽。


今回のいさかい公演は3日間しかないので、一昨日が初日、昨日が中日、今日が千秋楽。早っ!

昼公演と夜公演の休憩時間に、舞台の上で充電中の金子です。

ちょっとお見苦しいものが横たわっておりますがこれが今回の舞台装置です。
なんじゃこりゃ?と思われるかもしれませんね、明日、もう少しマシな写真を撮ってこようと思います。


今回の私たちの作品は、実は、この絵空箱というパフォーマンスギャラリー&カフェスペースをとても意識して作っています。

私たち4人のユニットは、性格もばらばら年齢もばらばら協調性もばらばらで、人の言うこと聞かない人たちばかりなのですが(笑)、「空間」に対する感覚が鋭いというか、空間の考えかた、作り方において不思議と意見が合うんですね。

4人でこのスペースの下見に来た時、まず第一に、このカフェという空間を生かそうと、すぐに意見が一致しました。そしてお客様が一方から見る舞台ではつまらないので、対角線上にどーんとランウェイみたいな舞台を作り四方から見てもらおうと、すぐにひらめきました。

360度観客の視線を浴びながらの芝居です。
お客さん同士も互いの顔が見える座席。

王子の行う実験をお客様も一緒に見物するのが今回のコンセプトです。

何人かのお客様に、四方から見られる感覚はどうなの?やりにくくないの?と聞かれましたが、確かに神経は使います。どっちを向いても必ず私の顔が見えない人が出てきますので、言葉と顔の表情だけでなく、背中というか全身でニュアンスを伝えるということをかなり意識しなければなりませんので、実は大忙しです(笑)。

初日は導入のシーンが少し硬かったので、2日目の昨日はお客様を巻き込もうと芝居を変えました。そして昼公演後に、どうも伝わりにくいシーンを手直しして夜公演に挑みました。何回も公演があると、本番の緊張感の中で、いろいろと変えていけるのがやっぱりいいですね。その反面、くり返し演じていると、芝居がこなれてしまってかえって面白くなくなることもあるので、難しいところです。

終演後にスタッフとディスカッションする中で、昨夜もまた発見がありましたので、今日の公演で試してみたいと思います。毎回、私自身はものすごい緊張感で息つく暇もない芝居ですが、登場人物達が、もう、どれもこれもとんでもなく自己チューで、何度見てもあきれて笑いがこみ上げてくると毎日見ているスタッフが言ってました。
これって、スルメみたいな芝居だよね〜〜と。

本日のスルメ芝居、マリヴォー「いさかい」、いよいよ残りあと2回です。

芝居が終わってしまう日の朝は、寂しくていやです。
空間にも、作品にも、そこで生きてる役にも、メンバーとのつかの間の共同作業にも、お別れしなければならない…寂しいです。

本番は戦場のようですが、しばしおセンチになる金子でした。

では、後ほど、劇場でお会いしましょう!




2013年6月12日水曜日

感じて、伝える。いざ、初日!


出掛ける前なので、乱文お許し下さい。


いよいよ、小屋入り、本日初日です。
小さなカフェスペースですから、劇場とはちょっと感覚が異なりますが、3日間公演公演しますのでなんだかやっぱりとても嬉しいです。

朝から照明・舞台を仕込み、リハーサルをして今夕幕が開きます。幕はないけど。(笑)
これほど早く幕が開いて欲しいと胸躍り、かつ、失敗したらどうしようと心臓に悪い日もないです。
緊張と喜びとが1分ごとに入れ替わり、まったく、くたびれます(笑)。

さて、ねんのためご説明しますと、「いさかい」はチラシの写真に写っている2人の中年女性が言い争う話ではありません。

19歳のかわいい?女の子たちの話です。(演る人の年齢はこの際考えないでください!!)

ちょっと話は変わりますが、先日、中学の先生から聞いたお話です。まだしっかりと文章力を身につけていない子どもたちが、TwitterやLINEなどの文章とは言えない短いことばのやりとりするのはとても危険だと。つまり、自分の気持ちを伝えるのみならず、相手の気持ちを読み取る力が育たないという話を聞きました。

うざい。きもい。でしか表現できなければ、伝わるものも伝わらないだろうなと思います。

「いさかい」の登場人物は、今の子どもたちにいわせれば、間違いなく全員「うざい」です。登場人物たちは一生懸命言葉を探して自分の思いを伝えようとしています。それは時に、いや、かなり自己チューだとしても。フランス的だとしても。

溢れる言葉と格闘しながら、私は、登場人物たちが自分の中に育って来ていることを感じ、ドキドキと(決して毛など生えていない)小さな心臓をふるわせながら、絵空箱に向かおうと思います。。(そこのあなた、笑った?)

さあ、3日間5回公演ありますので、どうぞ観にいらして下さい!

詳細はこれより前の投稿をご参照下さい!

では、行ってきます!!






2013年6月8日土曜日

初恋はいつだったか。



むむむ〜〜〜〜。思い出せない。小学校の高学年の頃、気にならないと言えば嘘になる、そんな男の子が一人いました。ほのかな恋心といえばそうだったかもしれません。当時の私は、色が黒くて痩せてて、短髪で半ズボン。男の子より男の子っぽかったので、よく遊ぶ仲間は女の子より男の子の方が多かったです。そのころはゲーム機なんてありませんからね、もっぱら公園や空き地で鬼ごっこや缶蹴りやタイヤ当てなど、とっくみあいのようにじゃれあって遊んでいる時、ふと、男の子に触れると、なんだか不思議な気持ちがしたのを思い出しました。

作品の中で、エグレという女の子が登場します。誰にも会わずに育てられた4人の子どものうちの一人です。原作では4人は同じくらい登場しますが、今回はこのエグレを中心に台本を構成しています。

エグレははじめてアゾールという男の子に会った時、「じぶんでもよくわからない、上手く言えない」気持ちになると言っています。

この4人は一応成人しているので、小学校高学年とは違うだろうけど、でも、おんなじかもしれないなあ、なんて思いながら一人稽古しています。

何しろ、そんな初々しい頃の事なんて忘れちゃったし(笑)。


実際に私が演じるおもな人物の名前をちょっとご紹介しましょう。

舞台はフランスの田舎。

最初に登場するのは、貴族の娘エルミアーヌと王子。
なにやら、昨夜の宮廷での議論を引きずり、この場所にやってきます。エルミアーヌは持論が正しいと一歩も引きません。

そして、目の前に繰り広げられる「実験」。
ここで、4人の子どもたちが登場します。19歳ですが、社会と離れて大きくなったので、大人と子どもが混ざったような感じでしょうか?

まず現れるのは女の子のエグレ。
今回はもっぱらこのエグレを中心に物語を描きました。

エグレが最初に出会う男の子がアゾール。
そして、もう一人の女の子アディーヌが現れます。
最後に登場するのがもう一人の男の子メスラン。

さあ、この4人がどのようなやりとりをするのかは、書いたらネタバレなので、ひみつ。当日のお楽しみです。
このそれぞれのキャラクターが可愛いと思うか可愛くないと思うか。リハを見ながら、はははと笑うトクマスさん永田さんの横で、照明の横原氏は「こういう女いるんだよなあ…」とぼそりとつぶやいていましたけど(彼にはたして何かあったかは聞かないことにして(笑))、男性と女性でもこの物語の感じ方は違うかもしれませんね。皆さんはどうご覧になるでしょうか!?

彼らがそれぞれに出会う手助けをしたり諭したりするのが、彼らの養育係、黒人のメスルー(男)とその妹のカリーズです。彼らは4人の子どもたちの会話を通して登場します。

さあ、皆さんの心の奥にしまわれた懐かしい初々しい気持ちを、引っ張り出してご覧頂ければと思います
うふふふ。


<公演詳細>
art unit ai+ 実験公演
マリヴォー「いさかい」
La dispute de Marivaux

【原作】マリヴォー【構成・演出・出演】金子あい【音楽・演奏】永田砂知子
【美術】 トクマスヒロミ 【照明】横原由祐

【日時】
2013年(全5回公演、開場は開演の30分前)
6月12日(水) 19:30開演
6月13日(木) 14:00開演/19:30開演
6月14日(金) 14:00開演/19:30開演

【会場】
Performing Gallery & Cafe 絵空箱  http://esorabako.com/
(地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅1番出口徒歩2分)
新宿区山吹町361誠志堂ビル1階

【料金】
前売 2,800円/当日 3,300円/学生・研究生2,300円
 (一名につき料金+1ドリンク700円オーダーが必要です。 全席自由)

【主催】art unit ai+

【ご予約・お問合せ】
art unit ai+ (アートユニットアイプラス)
tel:090-6707-1253
e-mail:auaplus@gmail.com

2013年6月7日金曜日

紅屋のおたか


先の6/2日に武蔵野市芸術文化協会25周年記念 薫風フェスタで井上ひさし原作の舞踊劇「雨」に出演しました。私の役は、山形の紅花問屋紅屋の奥様おたか。山形弁を練習して台詞あり踊りあり殺陣ありの見応えたっぷりの作品でした。コメディだけど最後は思わず泣けてしまう切ないお話しです。りんとしたでも可愛いところのある役でした。
で、その日の写真をちょっとご披露。カツラ久々でしたが、好きなんですよ。カツラありの和物(笑)。またやりたい〜〜。とても楽しかった!


とのんきに言っている場合じゃない〜〜、いさかい、いさかい。


2013年6月5日水曜日

音をみつける


…なーんて、書くと、なんだか、口はばったいのですが、先週今週と永田さんと音づくりをしていると音を見つける作業って面白いなあと、つくづく思うのです。

もちろん私は演奏するわけではありませんから、音を見つける作業中は人生の大先輩である(笑)永田さんに「あ〜〜それかなあ?」とか「違う〜!」とか好き勝手なことを言います。すると永田さんは、ちょっと困ったリスのように、たくさん並べた楽器の前をあっち、こっち動き回り弾いたり叩いたりしながら「これかな?…これは乙女チックか?…これは強いな…これはバカみたい!」などぶつぶつ独りごち、音を見つけ出してくれます。その姿があまりにかわいくてひそかな楽しみになっているのですが、それは永田さんにはナイショです。

今回は、マリヴォーの戯曲を自ら一人芝居用に構成し直しました。専門家にお願いすればもっと簡単だったかもしれませんが、何しろ、登場人物が少なくとも8人はいるので、自分でどう演じることができるのかを想定することが必要でした。四苦八苦しましたねえ。原作のエッセンスは感じて頂けるかなあと思っています。

作品のイメージのようなものは、はじめから遠く霞の向こうに見えているのですが、台本を構成している時に詳細まで摑み切れているかと言えば、全然そんな事はありません。できあがった台本をあたらめてどう形にするか、やはり順を追って考えます。

その中で、音の役割はとても大きく、作品の世界観はもちろん、台詞と音との距離感を考えることで、言葉がより聞こえてきたり、分からなくなったり、面白くなったりするのです。悲しいからといってめいいっぱい悲しい音楽がいいかと言えばそんな事ありません。永田さんと二人「ドラマの音楽作ってる人ってどうやってるんだろうね???」とか言いながらあれこれするのは大変ですが、形になってくると充実感を感じます。そして、舞台での永田さんの存在もこの作品ではとても重要な役割があります。あ、リスの役じゃないですよ(笑)。
これは先週のリハ


一昨日のリハーサルでは、演技プランと音プランを美術家照明家に見せたところ、一応うけてたので、ひとまずホッとしました。マリヴォーのクスッと笑っちゃう面白さが出てきたらこっちのもの。がんばろっと。(笑)

「平家物語」公演から自分(達)の作品として、演出もやるようになりましたが、まだまだ、慣れない私。リハーサルでは美術家、照明家の客観的な意見が本当に力強いです。自分で自分にむちゃ振りして、いつも途方に暮れている私ですが、「このチームだからこそ普通のスタンスのお芝居じゃないものを」と難しくてあたたかい励ましを美術家と照明家にかけられつつ、四人が専門分野を超えて、わいわいがやがやの作品づくりです。お楽しみに!

毎回終演後は、メンバーも会場でくつろぎますので、楽しくお話しなどできればと思っています。どうぞごゆっくり楽しんでいってください



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<公演詳細>
art unit ai+ 実験公演
マリヴォー「いさかい」
La dispute de Marivaux

【原作】マリヴォー【構成・演出・出演】金子あい【音楽・演奏】永田砂知子
【美術】 トクマスヒロミ 【照明】横原由祐

【日時】
2013年(全5回公演、開場は開演の30分前)
6月12日(水) 19:30開演
6月13日(木) 14:00開演/19:30開演
6月14日(金) 14:00開演/19:30開演

【会場】
Performing Gallery & Cafe 絵空箱  http://esorabako.com/
(地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅1番出口徒歩2分)
新宿区山吹町361誠志堂ビル1階

【料金】
前売 2,800円/当日 3,300円/学生・研究生2,300円
 (一名につき料金+1ドリンク700円オーダーが必要です。 全席自由)

【主催】art unit ai+

【ご予約・お問合せ】
art unit ai+ (アートユニットアイプラス)
tel:090-6707-1253
e-mail:auaplus@gmail.com


2013年6月2日日曜日

自分の顔、好きですか?

きれいなお姉さんは好きですか?

と、年頃の少年があこがれをもって言うCMがありました。
イケメンは免疫力が高いという研究結果を先日ネットで読みました。その実験では女性に関しては可愛くても可愛くなくても免疫力に差は出なかったそうです。じゃ、きれいなお姉さんじゃなくてもいいじゃん。
しかし、人間はきれいなものが好きです。

マリヴォーの「いさかい」は、戯曲を深く掘り下げなくても、ただ読むだけでとても面白いのですが、何度も読んでいて、気づいたことがあります。

19年間隔離され、他の人間を知らないで育った子ども達は、自分の顔を見たことがないようなのです。言葉も食事もある程度の文化的教育も受けているのですが、彼女らの育った部屋には鏡はなく、ガラスに映る自分の顔すら、どうも見たことがないようなのです。実験は徹底してますね。すごい。だから、はじめてみる自分の顔にエグレという女の子は驚きます。驚いたあとの反応が彼女らしいのですが、これは当日のお楽しみ。マリヴォーから見ると女性はこのように見えたのでしょうかねえ。

そして、もうひとつ、原文のフランス語や英訳では表現されていて、日本語訳では十分表現しきれない要素があります。彼女たちが、「他人」にはじめて会う時に、初めのうち「人称」がめちゃくちゃなのです。「あなた」「彼」「彼女」「それ」「人間」「人」の使い方がすごく変なのです。これは自分以外の人や性別の認識に慣れていない、人称代名詞をどうやって使っていいのか分からないといった感じが表されているのだと思います。人の関係性って社会的なものなんだなぁと今更ながら思ってしまったりして。実は私自身このことをものすごく面白いと思ったのですが、その変さを日本語に上手く訳せないということと、私が一人で演じるので人称代名詞をごちゃごちゃにしてしまうと、全てがちんぷんかんぷんで分からなくなるので、これはあきらめてひねりすぎないようにしました。

マリヴォーの作品は一般的に、恋愛心理の機微を細やかに描写した、独特の言い回しや文体に特徴があり、これらをマリヴォダージュと呼んでいます。格調高いと言うよりは社交界の日常語に近かったようで、「いさかい」で最初と最後に現れる貴族達の会話は、きっとそのようなものだったのでしょう。

「いさかい」=論争、はこの物語のあらゆるところで起きます。他人同士のみならず、自分の中でもいさかいは起きています。
その様子が興味深いのです。

それにしても、10人も出てくる芝居は、基本的には10人の出演者でやるべきですね(笑)。その方がうんと楽。一人でやるのは無謀(笑)。

しかし、そこに山がある限り、うっかり登ってしまいたくなるのです。
私を通して相手の登場人物が見えたら嬉しいなあと思います。

さて、会場の絵空箱は、カフェを併設。芝居中も飲食して頂きながらご覧いただけます。終演後は、私たち4人も毎日飲もう〜と言っていますので、お時間のある方はぜひ残っていただき、いろいろなお話ができればと思っています。

美味しいお酒が飲めますように、頑張ります。

ぜひ、お気軽に「ご見物」にいらして下さい。


<公演詳細>
art unit ai+ 実験公演
マリヴォー「いさかい」
La dispute de Marivaux

【原作】マリヴォー【構成・演出・出演】金子あい【音楽・演奏】永田砂知子
【美術】 トクマスヒロミ 【照明】横原由祐

【日時】
2013年(全5回公演、開場は開演の30分前)
6月12日(水) 19:30開演
6月13日(木) 14:00開演/19:30開演
6月14日(金) 14:00開演/19:30開演

【会場】
Performing Gallery & Cafe 絵空箱  http://esorabako.com/
(地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅1番出口徒歩2分)
新宿区山吹町361誠志堂ビル1階

【料金】
前売 2,800円/当日 3,300円/学生・研究生2,300円
 (一名につき料金+1ドリンク700円オーダーが必要です。 全席自由)

【主催】art unit ai+

【ご予約・お問合せ】
art unit ai+ (アートユニットアイプラス)
tel:090-6707-1253
e-mail:auaplus@gmail.com