2012年7月30日月曜日

日生劇場「響きの国のアリス」東京公演無事終了!次は兵庫!


おととい、きのうと4回のアリスのクラシックコンサート「響きの国のアリス」の公演が無事終了しました。大変に暑い中おいで下さった皆さん、本当にありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか?

今週末に兵庫で一公演ありますので、舞台の内容はまだリポートできませんが、今日はこの2日間の感想を〜〜。

広い日生劇場に子供たちの声が響き渡り、お父さんお母さんも一緒に笑って歌って下さるひとときはとてもとても楽しくて幸せでした。子どもだけでなく大人も楽しめたと言う感想をたくさん頂き一同嬉しく思っています。神奈川フィルの素晴らしい生演奏に乗って登場するのは「か・い・か・ん」です!私の台詞が子供たちにも気に入ってもらえたようでむふふ、嬉しいです。そして女王様のドレスが体にぴったりフィットしてきて、ずっと昔から着ているような気分。脱ぎたくないです。このまま家に帰ってもOKです(笑)。平家物語の私しかご存じない方はこのドレス姿が思いの外似合うので驚いてましたね。

もうずいぶん長く演劇の仕事をしていますが、今回もスタッフの皆さんの素晴らしい仕事ぶりに見ほれてしまいました。

舞台袖でいろいろとスタンバイする作業を見ている内に、ああ、舞台を作る仕事って本当に創意工夫とチームワークなんだなあと改めて思います。

ここ数年新社会人の方々と接する機会が増え、いろいろな話を聞きますが、こういう仕事も一度、体験してみたらいいのにと思います。舞台を作る仕事にはすべての要素が含まれています。プランを形にするための技術とアイデア、不都合が生じたらすぐに改善し対応する、危険やトラブルを防ぐために様々な可能性を想定し対処する、出演者・スタッフと呼吸を合わせ、本番を回していく。。。その中には役者も含まれています。みんな職人なのです。そして、それはお客様のためのホスピタリティ。誰かに喜んでもらえるって本当に幸せな事です。舞台袖で、子供たちの喜ぶ声を聞いているとこの仕事をやっていて良かったとつくづく思いました。

日生劇場では毎年素敵なファミリーフェスティヴァルをやっています。
来年もぜひご家族揃って遊びにいらして下さい!私もまた皆さんとお目にかかれることを祈っています。(来年もハートの女王様に会いたいってアンケートにみんな書いてくれたかな…)

さあ、明日は8/4兵庫公演に向けての稽古。

兵庫の皆さん!楽しみに待っててくださいね!


2012年7月27日金曜日

アリス本番まであと一日!

今朝は、駅前の自転車置き場が早々にどこも満車になり駐められず参ってしまいました。こんなことなら女王様、馬車で通勤すれば良かった。。。

駅ナカのいつものお気に入りのお弁当が、今日は全品「うなぎのひつまぶし」にとって変わられ、無い!
うーむ。土用丑の日だからって、そういうことするから鰻が足りなくなるんじゃないの?とブツブツいいながらあまり気乗りのしないサンドイッチを購入。予定より遅くなってしまいましたが女王様、劇場に到着。
と思ったら、時間を間違えていて、予定より早く着いてしまいました。良かった。ゆっくりウオーミングアップができます。

昨日はメイク・カツラ付きの通し稽古でした。衣装もそうですが、メイクとカツラもやはり自分に馴染むまで、多少時間がかかります。今日はまさに本番通りのゲネプロです。

ちょっと話はずれますが、
舞台のスタッフさんたちのお仕事振りには、これから社会へ出る若い人たちが学ぶべきことが沢山つまっているのではないかと、つくづく思います。

作品を形にするための発想や課題をクリアするための具体的な作業もさることながら、ミスや危険を回避するための徹底した予測と心配り。多くのひとと力を合わせ、これを毎回短期間で仕上げて行くのです。

ここ数年、一般の、親子ほど年の離れた新社会人に接することが増えて、いろいろな話を聞くにつれ、すべてのひとに演劇をやれとはいいませんが、何かこう学ぶことができるんじゃないかなと思えてなりません。



2012年7月25日水曜日

歯を食いしばりながらも…??日生劇場「響きの国のアリス」いよいよ今週末本番!

日々のニュースを見ていると、本当に腹立たしいことばかりで、先日、余りに強く歯を食いしばって寝ていたらしく、起きたら口がまったく開かない顎関節症になってしまいました。。。いやあ、痛かった。幸い消炎鎮痛剤と歯科治療ですぐに回復しましたが、生まれて初めてです。なにかストレスありましたか?と歯医者さんに聞かれ思わず「この国の政治」と答えそうになりました。

みなさん、腹立たしくても歯を食いしばって寝るのだけはやめましょう。

さて、7/5から始まった日生劇場の「響きの国のアリス」の稽古も、いよいよ昨日から舞台稽古に入りました!なかなかブログを更新しなかったら、こっちのお芝居のお仕事は秘密ですか?と聞かれてしまいました(笑)。いえいえ、秘密ではないです。むしろ、久しぶりの楽しいファンタジーの舞台!声を大にして皆さんにお話したいくらいです。

しかし、舞台の稽古が始まるとどうも稽古場の様子をどのようにお伝えしていいのか、分からなくて、、、なんだかネタバレになったらつまらないし、こんなこと一生懸命練習してます、、、というのも当たり前っちゃあたりまえだし、しかも稽古場は地下2階で圏外。ドコモは入るけどソフトバンクは入らないし〜〜、そんなわけで稽古が終わって地上に出てくるときはもうがっつり疲れ切っていて私自身が圏外状態でした。

なぜそんなに疲れるかって?それは、あなた、私が「森の妖精」としても踊っているからです。おほほ。しかも、この年になってアレを履くとは思いませんでした(^^;)。幼稚園以来かもしれません。意外にいけてると楽屋では評判ですが〜〜〜〜〜

アレ、、、は本番のお楽しみ(笑)。


昨日はオケ合わせと呼ばれる音楽的な絡みをオーケストラと一緒に合わせる稽古でした。今日は本番の衣装を着けての舞台稽古です。明日はメイクつき〜〜♪

はい、ハートの女王様役ですから、衣装はものすごくかさばってます。エリザベス並みです。いえ、かさばり度合いからいったらマツコ並みかもしれません。これほどのドレスは普段絶対着ることがないので、やっぱり楽しいですね(笑)。女王様のキャラはオケの皆さんにも気に入ってもらえるといいなあと思っています。

そうそう、今回の日生劇場アリスのクラシックコンサートはコンサートと言うくらいですから、それはもう、大迫力のオーケストラの生演奏が堪能できます!そしてアリスのキャラクター達が音楽を楽しく物語で解説しながら進行していきますので、お芝居と音楽の両方楽しめる作品です。

しかも、オケの皆さんにも普段の演奏会ではしないようなことをずいぶん協力していただいています。これも見どころです!

日々、未来を描けない政治を憂い、福島を思い、原発廃炉を願い、こんな国と汚れた大地にしてしまった大人の一人として、子供たちに申し訳ない思いでいっぱいなのですが、こんなふうにこども達がきらきらと夢と希望を感じられる舞台に出られることを、つくづくありがたく思います。

私たち大人は、子供たちの未来と夢と希望の礎にならなければならない。
それが大人の役割です。

残席はあと残り僅か。
今週末のご予定がまだ決まっていなかったら、ぜひ、日生劇場へ遊びに来て下さい!
アリスとウサギと帽子屋とチェシャネコとカンパネラとハートの女王が待ってます!

日生劇場「アリスのクラシックコンサート」HP
http://www.nissaytheatre.or.jp/program/2012/01/program-384.html


【日時】
7月28日(土) 11:00/15:00 日生劇場
7月29日(日) 11:00/15:00 日生劇場
8月4日(土) 14:00 兵庫県立芸術文化センター
【料金】
S席 大人4000円/こども2000円
A席 大人3000円/こども1500円

上演時間2時間 子供料金は中学生以下
推奨年齢:4才〜小・中学生
【出演】
指揮:松沼俊彦(チェシャネコ)
アリス:鵜木絵里(ソプラノ)
ウサギ:小関明久
帽子屋:斉藤 悠
カンパネラ:鷲野礼奈
ハーとの女王:金子あい

演奏:神奈川フィルハーモニー管弦楽団


2012年7月8日日曜日

フクシマを思う6「番外編 金子あい朗読会」報告

先日の7/4のご報告。

メインゲストの肥田舜太郎先生が体調不良のため、やむなく講演中止となった「フクシマを思う6」でしたが、代わりに開催した「番外編 金子あい朗読会」には70名近い方がご参加下さり、久々にじっくりと「詩」を味わっていただきました。開演時間が近づくにつれて続々と皆さんがおいでになり、並べていた椅子では足りなくなるほどでした。皆さんのあたたかいお気持ちと現状への危機感が感じられ、うれしさと共に強い思いを感じました。ご参加下さいました皆様、本当にありがとうございました。

「フクシマを風化させない、自分のこととして寄り添い続ける」──それをテーマに開催しているこの会ですが、最近の政府と電力会社の動きを見ていると、「フクシマをなかったことにはさせない、自分のこととして行動を起こす」と言い換えた方がいいのではないかと思っています。それほど危機的な状況になっていると思います。

会の当日お配りするパンフレットには、毎回、福島の被災した方に書き下ろしていただいた近況報告を載せているのですが、その言葉はいつもすごく胸に刺さります。私はぜひともそれを皆さんに読んでほしいと思ってかなり力を入れて作っています。今回も会を中止にすることで、彼らの声を埋もれさせたくなかったというのが正直な気持ちです。そして、選んだ詩も「今」伝えたかった。70名ものお客様が来て下さったことは本当に嬉しかったです。

今回朗読した「詩」は以下の4篇です。

和合亮一さん「詩の礫 2012.6.17」
野田首相の再稼働会見を受けてツイッターでかかれた作品です。一部抜粋します。

・・・「福島に 震災に 何の出口も 見えていないのに 再稼働か タクシーは宇宙の底を たったいま 滑っている 「どうなっちまうんでしょうねえ この国は」果たして 国の問題なのか 日本の問題なのか 国と日本が 二つに分かれていくような気がして 車は 三叉路を曲がる 子猫を見つける」

「事故の検証は 雲の検証は 水の検証は死んでしまった牛や犬の検証は 光の検証は せせらぎの検証は 愛情の検証は 自死の検証は かぶと虫の検証は 雨の検証は 帆掛け船の検証は ランドセルの検証は 風の検証は 原子力の検証は うなぎの検証は 請戸浜の検証は 検証の検証は どうしたのか」

「いいのか なかったことにされちまうぞ 「もう されてちまってるぞ」「「なにを根拠にしてそう思う?」」「「「だって、もう動きだすんだぜ」」」「「「「もう?」」」」「「「「「もうだ」」」」」「「「「「「!」」」」」」」

「誰もがこれで良いのかと思っている良いはずがないと思っている確かにやみくもに反対することはいろいろなことを考慮して現実的ではない面もあるのかもしれないがそれでもこれで良いのかと思っていることはまちがいなく誰しも心にあるのだそれなのにこれで良いのか誰もがこれで良いのかと思っている」

「こうえんであそんでいたらすりむいたのでないていたらしらないおとなのひとがぼくのきずにやさしいかおでしおをぬっていったからおおきなこえでわんわんないていたらまたべつのおとなのひとがみずできずをあらいながしてくれてそしてやさしいかおでおおつぶのしおをぬっていったさいかどう」・・・@wago2828

本当にその通りです。福島は何も収束していないのに、なんの検証もされていないのに、これでいいはずがないのに、国民の7割が反対しているのに、誰のための再稼働なのか?


2つ目に読んだのは、若松丈太郎さんの「神隠しされた街」(1994)。

1994年に旧プリピャチ市を訪れた若松さんは、チェルノブイリ原発事故発生40時間後にプリピャチと近隣市民49000人が,2時間で1100台のバスに乗って街から消えた、さらに11日目には原子力発電所中心半径30kmゾーンは危険地帯とされ92000人がちりぢりに各地へ避難した。合わせて15万人であると書き、それを福島第一原発に当てはめて「私たちの消えるべき先はどこか。私たちの神隠しは今日かもしれない。」と書いています。1994年にです。

若松さんが警鐘を鳴らし続けていた事故は2011年3月11日現実のものとなり、今、15万人の浜通の人々がちりぢりに避難しています。


3つ目の作品は、「みえない雲」よりチェルノブイリ事故一ヶ月後に書かれたドイツの詩です。これは、前回の6/10にも朗読したのですが、この詩は衝撃的です。

26年前のドイツのこの詩は、市民は食品の放射能におびえ、国は原子力は安全だといい、政治家は無能であることが証明された、今、私たちが行動を起こさなかったら、何も言わなかったら、「彼ら」は私たちの沈黙と思慮深さに感謝するだろう、今こそ行動しなければならない、と書いています。

国が違っても26年経っても何も変わらないことに心底恐ろしさを感じます。

しかし、ドイツは今、原発をやめることを決定しました。その後、原子力について国民が学び議論する土壌が出来たからです。では日本も原発をやめるのに26年必要なのでしょうか?冗談じゃない!
この詩は毎回でも読むべきではないかと思っています。


最後は広島の原爆の詩、栗原貞子の「生ましめん哉」です。
大変有名な詩ですからお読みになった方も多いと思います。

原爆投下後のビルの地下、瀕死の人々のなかで若い女が産気づくと、いままで呻いていた産婆が「私が生ませましょう」と名乗り出ます。かくて赤ん坊は生まれ、産婆は息絶えます。

短い詩ですが、心打たれました。

どんなに悲惨な状況でも赤ん坊は生まれてくる。。。
原発事故を起こしたこんな無責任なひどい国でも赤ん坊は生まれてくる
私たち大人は、男も女も、子供たちのために「産婆」にならなければならない。
未来の世代のために命がけにならなきゃいけないのです。



参加された70名の方々は、ものすごい集中力で、「詩」の言葉に耳を傾けていました。
私の声が吸い込まれていくのが感じられました。


いま、伝えたいことがあります。

ぜひ、どうぞ皆さん、また詩を聴きにいらして下さい。


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次回、フクシマを思うシリーズ第7回
2012年11月22日(木) 19:00〜 武蔵野公会堂

ゲスト:アーサー・ビナード(詩人・翻訳家)
    カート&ブルース(箏&尺八デュオ)
出 演:金子あい(朗読)









2012年7月1日日曜日

【お知らせとお詫び】7/4 急遽中止いたします


7/4水に開催予定の「フクシマを思う6」につきましては、講演予定の肥田舜太郎先生の体調不良により急遽中止とさせていただきます。ご参加予定の皆様には大変申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。

私どもも肥田先生のお話を楽しみにしておりましたが、全国を飛び回り多忙を極めていらした肥田先生、体調が回復するまでしばらく講演をセーブしたいというご連絡を頂き、誠に残念ではございますが、先生の健康を第一に考え、「フクシマを思う6」を中止することを決定いたしました。どうぞご理解下さいますようお願い申し上げます。お元気になられたらぜひおいで頂きお話をお伺いできればと思っております。

また、ミュージシャンの演奏を楽しみにして下さったかたも多いと思います。本当にごめんなさい。アンディさん、クリスさん、フレッドさんには次回以降改めて出演していただく機会を作りたいとたいと思っております。

なお当日おいでになった方のために、18時半から「金子あい朗読会」のみ無料で開催いたします。最新の「福島からのたより」などの情報をご紹介しながら、久しぶりに皆さんとゆっくりお話ししたり、和合亮一さんの最新の詩などを何編か朗読したいと思っております。お時間ありましたらぜひおいで下さい。

取り急ぎお知らせいたします。

金子あい