2011年12月17日土曜日

熊本・水俣のみなさん、ありがとうございました!

言霊の熊本・水俣公演が無事終わりました。

両公演ともびっくりするくらいたくさんのお客様にご来場頂き、本当に大変だったことと思います。地元実行委員の皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。ご飯を食べる間も寝る暇もないような慌ただしい公演日程でしたが、熊本では石牟礼道子さんにご覧頂き(やはり緊張しました(笑))、水俣では舞台の上でお客様と一緒に浜辺で遊んだようなそんな感覚になりました。作家が言葉を紡ぎ出した地で、こうして声に出すことができるのは、役者としてとても光栄なことだと思っています。

石牟礼さんの言葉のあたたかさと慈しみは、まさに、水俣の持っているあたたかさと慈しみなのだと感じました。

みなさんどんな風に舞台をご覧になったのかなあ、、、。ちなみに私はチョウチョは緑色のほうでした。 
3年前に東京で初演したときとは全然感じ方が異なりました。3.11を経て石牟礼さんと多田さんの言葉が切実に胸に響いてくるのです。そして、私が語った「はにかみの国」「緑亜紀の蝶」「浜ん甲羅」が自分にとって現実のものとなったような気がします。それはやはり先々週石牟礼さんにお目にかかりいろんなお話を伺うことができたのと、水俣の海を見たこと、そして大震災と原発事故の放射能汚染による喪失。
まだよく言葉にできません。

帰る日に急遽水俣にある小学校で交流会をしてきました。子供たちのまっすぐな澄み切った瞳がとっても素敵でした。本当に楽しいひとときでしたね!全員で聴かせてくれた七滝太鼓、わすれません。すばらしかった!!

どうか、また会う日までみなさんお元気でお過ごしください。

また行きますね!




2011年12月7日水曜日

言葉の力は生きる力──12/10「詩の礫」を朗読

3月11日の震災の前
軽い言葉がテレビや雑誌、漫画にあふれ、
もはや言葉は力を持たなくなっているのではないかとさえ思えた。


しかし、3月11日の震災を目の当たりに体験した私たちは
大切なものを失い、困難のまっただ中を生きざるをえなくなった。


みじかい報道の言葉とともに、
被災地の状況を繰り返し映し出す映像は
しまいにはほとんど暴力的な垂れ流しとなり
加えて、政府と東電の発表は隠蔽とごまかしの言葉にあふれ誰も信じなくなった


私たちは文字通り言葉を失った


大人のしでかした犯罪と放射能の後始末を
未来を担う子供たちにお願いしなければならないのに
子供らの健康を守ることさえしないこの国


どの面下げて我々大人は子供たちに希望を持ってくれと言えるのか?


しかし、その絶望の中で私たちに力をくれたのもまた「言葉」だ


私は、震災後に和合亮一さんの「詩の礫」に出会ったことに感謝している
言葉を「伝える」のが俳優の私の役目なのに
震災後、伝えたい言葉が、伝えるべき言葉がまったく見つからなかった


途方に暮れた


しかし福島の詩人が震災と原発事故の只中で
すがるように吐き出し続けたこの言葉の数々は
私たちが知らなければならないものだと感じた


そう、知らなければ、次へ進めない


それ以来、私は和合さんにお許しを頂き
ことあるごとに和合さんの詩を朗読している


次に進むために。


そして、みなさんにも次に進むために聴いてほしい
どうか、まだ、一度も「詩の礫」を読んでいない方、聴いていない方は
言葉を全身で感じて下さい。
お待ちしています。


〜福島を思って〜

金子あい朗読「和合亮一・詩の礫」&波紋音演奏 永田砂知子
ギター&尺八デュオ「ZUI」ライブ
(原とも也・ブルース・ヒューバナー)
12月10日(土)13:30〜15:30(13:00開場)
料金:2,500円*和装の方は500円引
定員:50名

お申し込みは白瀧呉服店まで。
03-3933-0033
http://www.kimono-shirataki.com/main.html


*地下鉄有楽町線「地下鉄赤塚」駅前にある白瀧呉服店は、創業嘉永六年…ペリー来航の年、東京で一番大きな呉服専門店です。こじんまりした日本庭園と大きな座敷があり、ゆったりとした空間は着物を買わなくともぜひ訪れてみたい場所です。

2011年12月3日土曜日

「フクシマの今を聞く」12/4日20:00~21:30FMむさしのFMから全国にOA!!

今週の週刊きちじょうじに記事が掲載されました

みなさま、去る11/28の「フクシマの今を聞く」にご来場くださいまして誠にありがとうございました。また、遠方から応援をしてくださったたくさんの方々にも、心よりお礼申し上げます
ゲストにお迎えした「子供たちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の中手聖一さんのお話は、静かな語り口の中に、福島で震災と放射能被害に遭い、行政の支援がない中で子供たちを被爆から守るために活動を始めた中手さん達の様子や、様々な立場、意見の中で、困惑している福島の人々、そしてこれから子ども達のためにやらなければならないことが語られて、これがまさに逃れられない現実のことであると私たちが理解することができました。真剣に聞き入る観客の皆さんの胸に深く突き刺さった中手さんのお話。私たちは突き刺さったことを他の人に伝えなければならないと思います。
「子ども福島」の活動の一助にと当日会場で募ったカンパは95,000円、それに収益金の一部30,000円を足し合計125,000円をお贈りすることができました。皆様の温かいご協力に心から感謝申し上げます。

和合亮一さんの「詩の邂逅」から飯舘村の青年に寄せて書かれた詩を私が朗読しました。
飯舘村は終わらないという言葉が心に重く響きます。

ZUIの演奏は赤とんぼなどの懐かしい曲をジャズにアレンジしたり、本当に心地良い素敵なジャズ&ブルーズを聞かせてくれました。

知ること、想像すること。その一助になればと思います。

このライブの模様は、明日全国に放送されます。
インターネットでむさしのFMのHPにアクセス。サイマル放送でお聴きいただけます!ぜひ、ご家族ご友人と一緒にお聴きください!
12/4日20:00~21:30 
むさしのFM  
「フクシマの今を聞く」
お話:中手聖一「福島の子供たちの現状」
朗読:金子あい「和合亮一・詩の邂逅」
演奏:ギター&尺八デュオ「ZUI」





2011年11月29日火曜日

訂正です!

先にアップした12/10の白瀧呉服店でのライブの料金を間違えて記載してしまいました。昨日の光専寺での当日パンフレットも間違えておりました。
訂正いたします。

正しくは、2500円で、着物の方は500円引きです。

取り急ぎ、失礼しました〜。

2011年11月26日土曜日

【熊本・水俣公演】『言魂 詩・歌・舞-石牟礼道子・多田富雄深き魂の交歓』


『言魂 詩・歌・舞-石牟礼道子・多田富雄深き魂の交歓』
2011年12月14日(水)熊本県立劇場
2011年12月15日(木)水俣市文化会館
開演:18:30
料金:3000円(全席自由)学生2000円
申込み・問合せ:tel.090-9676-3798/fax.03-5988-2810
        mail@atelierkashu.com
WEB:http://atelierkashu.com/(アトリエ花習)
主催:言霊 詩・歌・舞ー多田富雄・石牟礼道子深き魂の交歓上演実行委員会
制作:アトリエ花習

出演:真野響子 金子あい 麻生花帆 花柳昌三郎 櫻間金記 国府田達也 笠井賢一     設楽瞬山(尺八) 橘 政愛(パーカッション) 
演出:笠井賢一                                         

『言霊』は、「苦海浄土」作者であり、熊本で言葉の力で闘い続ける石牟礼道子さんと、世界的免疫学者であり、脳梗塞で倒れて後、詩人・能作者として再生し言葉の力で果敢に発言し続け、昨年亡くなられた多田富雄さんとの往復書簡(藤原書店刊)です。

この書簡を軸に、2人の詩集「はにかみの国」「寛容」より詩や歌、新作能を織り交ぜ、二人の詩的世界が、あるときは死者の苦患を一身にあつめて血の色に咲く彼岸花のように、あるときは汚泥の只中から浄化されて咲き出だす蓮花のように、鎮魂と浄化と再生への願いを舞台に咲き匂わせます。

水俣と福島の構造はつながっていると憂いています。震災後福島で言葉の力で闘い続ける和合亮一さんも上演にメッセージを寄せてくださいました。3月11日の大震災、原発以後の今だからこそより強くお二人の対話が、詩が人々の魂に響きます。

どうぞ、ぜひお出かけください。

2011年11月25日金曜日

12/10 練馬区の白瀧呉服店で永田砂知子、ZUIとともに「詩の礫」を朗読します。



地下鉄有楽町線「地下鉄赤塚」駅前にある白瀧呉服店は、創業嘉永六年…ペリー来航の年、東京で一番大きな呉服専門店です。こじんまりした日本庭園と大きな座敷があり、ゆったりとした空間は着物を買わなくともぜひ訪れてみたい場所です。

夏と冬に様々な魅力的なイベントを開催している白瀧呉服店の五代目若旦那からのご依頼で、「詩の礫」を初演と同じく永田砂知子さんの波紋音の音とともに朗読します。
5月の吉祥寺で聞き逃した皆様、ぜひぜひ、和合さんの言葉の力を感じてください。後半はZUIの演奏もたっぷりと楽しめます。着物でいらした方は500円引です。

〜福島を思って〜
金子あい朗読「和合亮一・詩の礫」
&波紋音演奏 永田砂知子
ギター&尺八デュオ「ZUI」ライブ
(原とも也・ブルース・ヒューバナー)
12月10日(土)13:30〜15:30(13:00開場)
料金:2,500円*和装の方は500円引
定員:50名


イベントのお申し込みは白瀧呉服店まで。
03-3933-0033
http://www.kimono-shirataki.com/main.html



11/29水俣、30熊本で「詩の礫」を朗読します

『言魂 詩・歌・舞石牟礼道子・多田富雄 深き魂の交歓』
事前ワークショップ
和合亮一・石牟礼道子・多田富雄
詩朗読会

20111214日(水)に熊本県立劇場、15日(木)に水俣市文化会館で開催の舞台公演『言魂 詩・歌・舞石牟礼道子・多田富雄 深き魂の交歓』に先立ち、事前ワークショップとして、福島で言葉の力で表現し戦い続ける和合亮一さんの「詩の礫」を女優の金子あいが朗読します。このたびの公演の一つのテーマである、ミナマタとフクシマの抱える問題点と文明論的な深い問いかけを考えます。また、石牟礼道子さんの長崎原爆の詩「はにかみの国」、多田富雄さんの「新しい赦しの国」もお聞きいただきます。3.11東日本大震災に続く福島原発事故を経験した今日こそ、石牟礼・多田の往復書簡『言魂』の真実が心に響きます。
ぜひ、お出かけください。



出演 金子あい(女優)
  笠井賢一(演出家、アトリエ花習代表)

日時  11月29日(火) 18:30より
  水俣市もやい館 エントランスギャラリー   入場無料
     11月30日(水) 18:30より
   熊本市立現代美術館 5階 アートロフト   入場無料 


事前ワークショップに関するお問い合わせ先:

山本哲郎(熊本大学大学院生命科学研究部分子病理学分野)
Tel: 096-373-5304  Fax: 096-373-5308
『言魂 詩・歌・舞石牟礼道子・多田富雄 深き魂の交歓』上演実行委員会代表

2011年11月22日火曜日

11/28(月)福島の今を聞きにいらしてください。

「知ること」と「想像すること」。
これがどれほど大事かいうことを、震災・原発事故以降つくづく思います。
この2つが無くては、これから何十年と続く、このあまりにも困難な状況を乗り切っていくことができないのではないか。

知ることによって、自分がどう考えればいいか、どう行動すればいいか見えてきます。
想像することによって、心で理解できるようになる。想像は「共感」と置き換えてもいいかもしれません。


アーティストによる福島の問題を考えるこのチャリティライブイベントも3回目となりました。前2回とも超満員で、皆さんの関心の高さ、あたたかさを感じました。私たちは、息長くこのイベントを続けようと思っています。忘れそうになる頃に思い出す・考えるきっかけになればと考えています。

今回は初めてトークゲストとして、子供たちを放射能から守る福島ネットワーク代表の中手聖一さんをお迎えします。
なぜ福島の子供たちは被爆し続けなければならないのか?なぜ誰も責任をとる者がいないのか?現地にいる中手さんの話は生々しくものすごい衝撃を受けます。私たちは吉祥寺でも是非話をしてください!と熱烈にオファーし、今回の講演が実現しました。今福島で何が起こっているのか?見えない敵は放射能だけではありません。新聞やテレビではわからない本当の話を是非聞いてください。

アーティストゲストは、東西の邂逅、ジャズギターの原とも也&尺八のブルース・ヒューバナーのデュオ「ZUI」。ジャズとブルーズの心地よいかっこいい音楽をお楽しみください。お二人は先週から今週の頭にかけて福島各地でのコンサートをしてきました。彼らの触れた福島の様子などもじっくりお聞きいただけます。

そして、私、金子あいは「和合亮一・詩の邂逅」から、飯舘村の青年のインタビューを朗読します。言葉の力を感じてください。

まずは知ることから。

話を聞き、音楽や朗読を通してフクシマを考え、福島を思いませんか。
皆様お誘い合わせの上是非ご参加ください。心よりお待ちしております!

お申し込み liveticket@parkcity.ne.jp
お問合わせ 090−2474−7911(鎌内)

2011年11月18日金曜日

恐るべし脳

今週のためしてガッテンは腰痛特集でした。

はいはい。わたしは中学生の時にぎっくり腰をやって、20代でバック転し損ねて腰を痛め、ずーっと断続的に腰痛と闘ってきました。筋金入りの腰痛持ちです。

この夏前に、寝ていても痛いくらいになり、これはやばいと有名整形外科を訪ね、レントゲン、MRI、腹部エコーまで撮りまくって、所見なし。(胆石見つけちゃったけどね。)

なんだろうと不安を抱えつつ、とりあえずストレッチをかねてバランスボードで腹筋背筋を鍛えていたら、これが結構気持ちいい。ウエストもめきめき細くなった。さらには腰のこりの塊がだんだん薄れ痛みが無くなったのです。もうびっくり!
いやあ、バランスボードのおかげで腰痛が全快したよ!と人に言いまくってましたが、ためしてガッテンを見ていたら驚愕の事実が…!

腰痛の痛みの元は、脳にある。

というのです。はあ?

脳が痛いと感じると痛みを感じにくくさせる物質を分泌し、結果的に腰の痛みを感じなくするという仕組みが脳には備わっているのですが、腰痛の人の脳は不活性状態にあり、その痛みを和らげる物質が分泌されないというのです。
ずーっと、腰痛で寝たままふさぎ込んでいた奥さんにご主人が子犬を飼ってきたら散歩に行けるほど治ったというのです。

てことは、バランスボードで腰をくねくね伸び縮みさせていた私は、その運動が効いたというよりも、その運動の気持ちよさ(じっさいきもちいいのよ)が脳を活性化させて痛みを取った、といえるかもしれない。わけで。うーむ。

恐るべし脳。Oh!NO!

ついでながら、私はストレスを感じるとものすごく眠くなります。
なので嫌なことがあったり耐え難いことがあるとともかく眠りまくります。
しばらくすると何となく脳にもそのことに対する耐性ができてきて
元気が取り戻せて、まあなんとかやっていけるようになります。
脳って素直だ。。。そういえば、今週は眠ってばかりだったなあ。。。。
ライブイベントまであと10日、ラストスパートのために気力体力チャージ中!

ともかく眠るって大事なことです。

皆さん。夜更かししないで、さあ、もう寝ましょう。
お休みなさい。

2011年11月11日金曜日

福島で「詩の礫」を朗読するということ



今日は、といっても日付が変わってしまったけれど、11月11日。震災から8ヶ月。
もう8ヶ月。まだ8ヶ月。
それぞれに必死に生きた8ヶ月だったと思います。

先日11月6日に、福島市で行われた琴古流尺八若竹会の主催する邦楽演奏会「竹と絃の世界」にお招きいただき「和合亮一・詩の礫」を朗読してきました。会場は福島テルサFTホール。とてもきれいで音のいいホールでした。尺八と箏の純粋なる邦楽演奏会で、震災の詩を読む…滅多にない企画です。主催のかたの新しい事への挑戦がなせる勇気ある企画でした。
福島に行って(特に)和合さんの詩を読むときは、いつも、私でいいのだろうか、と不安になります。被災したまさに張本人である大勢の福島の方々を前に、私など無力だと思うからです。

しかし、今回はちょっと違いました。
私の出番は、一番最後。
福島県内の実力ある若手演奏家が次々と演奏するのを聞きながら
箏や尺八の音色がひとつひとつ粒だって胸に響き、とても癒されました。
福島の演奏家の方々とご一緒できることがとてもうれしくてわくわくしました。
そして、詩の礫。
お琴の前奏が始まりました。
十七絃から一変して二十五絃の低い音へ。
津波を思い起こさせる低い不気味な音色。
即興です。ぞくっとしました。
会場の皆さんが息を殺して私の声を聞いています。
私は読み進める内に8ヶ月経ってもなんら事態は進展しておらず
和合さんの詩の言葉がいまもそのまま、いや、なおいっそう、心に刺さる。
だんだん私は憤りを感じてきました。

最後には、会場と私の声と演奏者とすべてが一つになって
和合さんの詩の言葉を共有したような気がします。

力のある言葉って本当にすごいな…と改めて
詩の礫のすごさを感じました。

お客様になりかわって朗読した、そんな気が強くしました。
もし、それでほんのわずかでも皆さんが心を表に出せるなら
無力な役者でもお役に立てる…
それがうれしかったです。

また、たくさんの方々と巡り合うことができました。
何よりの喜びです。

また福島に伺います。
それまで皆さんお元気でお過ごしくださいね。




2011年11月6日日曜日

フクシマという表記について

11/28のイベントのお知らせをブログでしました。
フクシマを思うシリーズ3
「フクシマの今を聞く」
この「福島」をカタカナで表記することに対して無神経であるというコメントを頂きました。
コメントはしなくても不快に思われた方々が他にもいらっしゃると思います。
福島からゲストをお呼びして福島の現状をお聞きするのですから、確かに「福島の今を聞く」というほうが適切かもしれません。
ご不快な思いをさせましたことを深くお詫び申し上げます。
このイベントの第一回目を企画したのは四月の半ば。
東京では福島でなにが起きているか情報がなく、この未曾有の震災と原発事故に対して私たちはどうすればいいのか、おろおろと困惑するばかり。ともかく何か動いてみようと5/16に第一回目を開催しました。
名称は、東北の中でも、やはり震災の被害に加え原発事故の被害が深刻な福島を考えなければということで、「フクシマを思う」といたしました。
何故、カタカナか。
福島の問題は、福島だけのものでなく、日本の、世界の問題として、そして、東京に住む私達は自分たちの問題として考えなければならないという意味を込めています。
イベントに参加したアーティストも大勢のお客様も、みなさん、心から福島を思い、何かしようと真剣な熱い気持ちを持っています。
福島の皆さんの大切な故郷を軽々しく扱うということでは決してありません。
何故このイベントは東北ではなく、福島なのだ、とのお怒りもありました。
しかし、私達は今後長い年月、原発事故とともに生きていかなければなりません。福島と共に生きていくのです。
東京ではいとも簡単に福島や原発事故のことを忘れて生活することができます。それではいけない。せめて忘れないように「思い直す」機会を作ろうとこれからも手弁当で、長く続けて行こうと思っております。
ご納得はいただけないかもしれませんが、ご理解いただけましたら幸いです。

金子あい

2011年11月2日水曜日

チラシできあがりました

土曜日に徹夜してデザイン、入稿したチラシが月曜日夕方納品。特急で頼んだとはいえ、早っ!!あー、すごいなあ〜。こういう無理するからエコじゃなくなっていくのかもなぁ〜などとうっすら思いつつ、せっかくあらゆる関係者ががんばったので、早速アップします。

吉祥寺を中心にあちこちで配ります。
チラシご希望の方は、下記までご連絡ください!

アーティストによる福島の問題を考えるこのチャリティライブイベントも3回目となりました。前2回とも超満員で、皆さんの関心の高さ、あたたかさを感じました。私たちは、息長くこのイベントを続けようと思っています。忘れそうになる頃に思い出す、考えるきっかけになればと考えています。

今回は初めてトークゲストをお迎えします。
中手さんのお話はものすごいです。今福島で何が起こっているのか?新聞やテレビではわからない、生の声です。必聴です。

アーティストゲストは、ジャズギターの原とも也&尺八のブルース・ヒューバナーのデュオ「ZUI」ジャズとブルーズがかっこいい。東西の邂逅。すっごくいいですよ〜、直前に訪れる福島各地での演奏の様子などもじっくりお聞きください。

そして、私、金子あいは「和合亮一・詩の邂逅」を朗読します。言葉の力を感じてください。

皆さんで一緒に、話を聞き、音楽や朗読を楽しみ、福島のことを考えましょう。お誘い合わせの上是非ご参加ください。お待ちしております!

お申し込み liveticket@parkcity.ne.jp
お問合わせ 090−2474−7911(鎌内)

2011年10月31日月曜日

お百度参り??

こんばんは。今日は10月最終日。
なんだか、めまぐるしくいろいろなことが起きたような…起きてないような…そんなひと月でした。
なんだその曖昧さは?!と思われることでしょう。

なんといいますか、物事の感じ方がミクロとマクロを行ったり来たりして、これまでこだわってたこととか、考えとか、状況とかが地球の営みからすれば、なんかこう、どうってことないよなあ。みたいな。煩悩と悟りの間を行ったり来たりお百度参りしている感じです。一つ歳をとって、衰えていく我が身を見て、ちょっとの間も本当はぼやぼやしていてはいかんのだ。と思いつつうっかり怠惰に身を任せてしまう。狂気に身をゆだねられたら〜という願望が時々むくむくとわき起こるけれど、きわめてノーマルだったりする。

明日から心機一転。大海原へ漕ぎ出すような、そんな気持ちで行ってこ〜!

2011年10月24日月曜日

ワタクシ、週間「碁」に載りました!


先日開催されたJISAコンベンションで
日本棋院棋士会長 小川誠子六段の講演で聞き手をつとめさせて頂きました。
その時の記事が、なんと、週刊「碁」に掲載されました!なんだか嬉し恥ずかしデス。
こんなことでもなければワタクシぜ〜ったいこの新聞に載ることなんかありませんもの。嬉しいですね!で、拝読。あ〜〜〜〜「囲碁はじめます宣言」がこんな所にも!(><)

小川先生に「あの〜〜〜、囲碁ってどうやるんですか??」と率直な質問を(勇気を出して)してみたら、会場の囲碁経験者からは「ぶっ!」と吹き出すような失笑が〜〜〜。
すみません〜、でも、小川先生だから聞けたのですぅ〜、小川先生はそんな質問もおもしろがって丁寧に答えて下さいましたよ。

そのあと楽屋で王銘琬先生が「いや〜面白かったですよ!私たちは小さい頃から囲碁をやっているので、出来ない人のことが分からないのです。だから今日はぜんぶ勉強になりました!(笑)」

囲碁界の方は皆さんなんて優しいんでしょう!
でも、小川先生とのお話はいつまでもしていたかったくらい、本当に楽しかったです。


2011年10月17日月曜日

髪を切ってさっぱり!

新内・能・囲碁・能と怒濤の3種目連続日替わり本番 (←なんだかわからないですねこれじゃ。笑。)が終わって一週間。能楽師の先生方といろいろお話しさせて頂き、お酒もダイブいただいて、連休の最終日はクレヨンハウスの朝の学校に(若干二日酔いで)参加。フォトジャーナリスト樋口健二さんの原発被爆労働者のお話を聞き、私の脳みそは完全にぐるぐるミックス。さすがにキャパオーバーで知恵熱ダウン。そして震災前から伸ばしっぱなしでもう長くなりすぎた髪が急に我慢できなくなって、思いっきりばっさり切りました。くるくるパーマもかけて、平家物語のイメージとは全然違う別人になりました〜。そうですね、一言で例えるなら、寝癖のイタリア人か、もしくは、風にあおられたフランス人みたいな感じです。

イマイチ元気が戻らないので、なかなか、よいしょと取りかかれないのですが、そろそろ、平家の写真をアップします。そして、フクシマシリーズのチラシをデザインしなきゃ〜。
でも、今日は寝ます。。。。お休みなさい。

2011年10月6日木曜日

小川誠子先生と王銘琬先生に挟まれて

目が回りそう

吉祥寺の平家公演が終わってほっとする間は全くなく、今週は連日のように講演の聞き手、解説のお仕事がはいっています。先週はまさに自分が主役で気合の火の玉を送りだすような感じでしたが、今週はワキ。合いの手でいかに面白くなるか、使う神経が180度異なります。

しかし、来週はおそろしく暇なのに、どうして忙しい時は重なるのでしょうかねぇ。(笑)。仕事っておかしなものです。でも、お声を掛けていただけるのが何より幸せ。たくさんの新しい出会いがあり、ありがたいなあとつくづく思っています。

●日曜日、新内の富士松小照師匠の「観月の宴」がありました。美味しい料理を楽しみながらお座敷で新内を聴く、ちょっとぜいたくで素晴らしい催しです。小照師匠はお綺麗でさっぱりしたとっても素敵な方で、うっとり聞きほれてしまいます。いいですねいいですね。静かな空間。お庭。ホールとは違うこういう楽しみ方をもっと多くの方に味わっていただきたいと仰っていました。お客様は長年新内を聞いていらっしゃる方が多く、若輩の私が解説をするのはやはり緊張します。演目は季節の「十三夜」と「尾上伊太八」。いろいろと調べるうちに十
三夜は面白いエピソードがたくさん出てきました。原作も読み返し、あらためてすごくいいなと。来年の十三夜には語ってみたいなととても思いました。お話面白かったといってくださる方がいたので、やはりネタ探しは重要!

●月曜日、私の能の師、粟谷明生先生が主催する初めての能楽鑑賞講座の聞き手を務めました。お客様は能を習っている方もいれば初心者の方もいらっしゃり、分かりやすさのレベルをどこに定めるかはテーマに合わせて毎回考えなければならないなと思いました。私自身も長年習っているので、知らないということがよく分からなくなってしまうんですね。
「天鼓」と「井筒」という二つの能についての大変面白い演者のこだわり話やトリビア的な話、その上に装束付けの実演もあり、てんこ盛りでした。今度は小分けにしましょう、先生。もったいない。でも、とても面白かったし、お能を見たことない人もある人も絶対楽しめますね。今度は皆さんぜひいらしてください。

●水曜日、(社)情報サービス産業協会が主催するコンベンションで、囲碁棋士・日本棋院棋士会長小川誠子先生の講演があり、聞き手を務めさせていただきました。囲碁は全くのど素人!にわか勉強はしましたがもちろん打てるはずもなく、これはもう、全国のど素人を代表してお話を伺うより他はありません!
しかし、小川先生はそんなことちっとも気になさらず、かえって新鮮だわと楽しんでくださいました。美しく柔らかな雰囲気がとても素敵で、お話を伺うほどに、厳しい修行と人生経験の中で培われたお人柄が素晴らしく大ファンになってしまいました。あまりに囲碁が面白そうなので、とうとう大勢のお客様の前で囲碁始めますと言ってしまった〜〜〜!

私の公演を見に来てくださる方々をはじめ、こうした素晴らしい方々とご縁があり、お話を伺えることは何よりの喜びです。特に震災以降、そう感じるようになりました。


皆さんありがとうございました。

2011年9月28日水曜日

本番の朝

琴奨菊が今日は大関昇進と言うことで
おめでとうございます。
私も四字熟語で決意表明を。
なにか、一がつくらしいので…

「一進一退」!
…決意じゃないですね

「一日一善」!
…なかなかやれてないな長いこと一日一膳だと思っていた…

「一期一会」!
今日はやっぱりこれだな〜

今日はいい天気です。本当にありがたい。
昼前から仕込み、会場作り、リハーサルそして、本番。

うたかたの夢のように終わる一日だけの公演。
そこにおいで下さるお客様がいるということに心から感謝いたします。

どうか皆様良い一日でありますように。

800年前に旅してきます。

行ってきます!

2011年9月26日月曜日

松本公演ありがとうございました!そしてあさって吉祥寺公演!

こんにちは。
今日はどんより曇り空、と思ったら雨が降ってきました。

それにしても先週の水曜日の台風は凄かったですねぇー!!
身の危険を感じる風とはああいうことを言うのでしょうね。天空が低く高く轟々とうなり、でっかい木の枝が時折びゅーんと飛んできて、ガラスに当たったらどうしようとひやひやしました。台風一過。ベランダの手すりはものすごくきれいになりましたが、街へ出るといろんな物が吹きだまりに溜まってましたね。有史ならぬ自分史以来あまり記憶にない台風直撃でした。

平家物語の松本公演が先々週の水曜日で、吉祥寺公演が今週の水曜日。制作と電話で話しながら「いやあ〜どちらの公演が一週ずれても大変な事だったね…」と、そう言えば2、3年前のこの時期に松本で芝居に出た時には、たしかものすごい台風であずさが運休し、東京からのお客様が全然来られなかった事を思い出しました。あさってはいいお天気に恵まれますように!

さて、松本の平家の公演は、なんとなんと満員!!のお客様で大感激!主催者の方々のご尽力に心から感謝申し上げます。最高に素晴らしい劇場で、語り芝居と波紋音演奏と舞台美術と照明の4者と、そしてお客様が一期一会のセッションをした、そんな感じの緊迫感ある舞台でした。会場は不思議な熱気とピンとした空気に包まれました。それはもしかすると、平家物語そのものがそうだからかもしれません。激動の時代に、絶えず死に直面しながら厳しい運命を生き抜いた人々の物語です。

今回、自分が言い出しっぺで、しかも一人語りで、これだけの方々に支えていただきながら舞台を務めさせていただいているんだ、と突然、出演前にいまさらながら気づいてしまい、なんておっそろしいことやってるんだろう〜〜とがたがたどきどき!!もう、なんていうんですかね、う〜〜〜んジェットコースターの一番てっぺんに登り詰めてもう引き返せないみたいな、あぁ”〜〜〜〜〜〜っっ!!みたいなそんな感じでした。いつも大勢いる楽屋にも自分しかいないし……舞台が終わってから気づけば良かった…。


でも、一番お見せしたかった平家の舞台が実現できて、お力添え下さったすべての皆様に、本当に感謝申し上げます。まもなく写真アップしますね。

さあ、吉祥寺光専寺での平家物語もいよいよ明後日です。
こちらもなんとなんと、お陰様で早々と、予約が完売し追加席もいっぱいという嬉しい悲鳴をあげてます。

チラシも当日パンフも自分で編集デザインしているのですが、ここ数日そればっかりやってます。当日パンフは保存版かも(笑)わかりやすいと思います。お楽しみに。




2011年9月13日火曜日

眠れないなあ

家でできることはもう終わり。
衣装も下準備したし。

荷造りはしてないけど。

明日は松本入り。

肩こりが最近はひどいな。

夜更かしで緊張してるんでしょう。

今日は早く寝よう…と思っているのに目がぎらぎら

あ、これ、パソコンがいけないんですよね。
早く止めよう。
あ、お腹空いてきた。

いかん。

お休みなさい。

2011年9月10日土曜日

いよいよ、松本で木曾義仲!


いよいよ、来週の水曜日に迫ってきました〜〜、平家物語松本公演。
脳みそが平安末期状態。
メールの文章にうっかり、「ござ候ふ」とか「かたじけのう」とか書きそうになったりしてます。
この前リハで松本用の衣装合わせをしたら、美術さんに「オイディプスと牛若丸だねぇ〜(笑)」と言われました。ははは!え?どういうことかって?ひ・み・つ。
そのなぞを知りたい人は、松本に見に来てください〜。見たらすぐ分かります。

木曾義仲にまつわる三話。

琵琶法師達が語り継いできた「平家物語」には無駄な言葉というものがありません。とても簡潔言葉なのに、ダイナミックで深い世界が描かれています。

原文で語る醍醐味は、現代語訳では表せない言葉のニュアンスがたまらなくかっこよくて面白いところですかねえ。
よく、原文は難しくて聞いていても分からないんじゃないかと仰るかたがいますが、ちっともそんなことないんですよ。そこに描かれている人人のドラマは今の私達と何ら変わらないのです。こころが十分に理解できるので、きっと古い言葉は気にならないと思います。試しにぜひ一度聞いてみてください。いえ、むしろなじみのない方にぜひ聞いていただきたいですね。どんな風に感じるのか感想を聞いてみたいですねえ!そしてご自分でも語ってみていただきたいです。

木曾義仲の最大の見所聞き所はやはり「木曾最期」でしょうかねえ。義仲と今井兼平、巴の乳母子同士の強い絆。義仲の孤独。戦描写のの醍醐味。ものすごい話ですよ。

本当にぜひ、聞いていただきたいです。

今回は語りを飛び越えてとても立体的な舞台になっています。
平家?面白そう〜!と集まってくれたスタッフ達が
それぞれの発想で平家物語の世界を表現しています。
まさにコラボレーションと言うにふさわしいと思います。
もう、本当に嬉しいです。私も本当に当日楽しみです。

松本近郊にお住まいのみなさま
ぜひぜひ観にいらしてください。

上演時間は長くありませんので電車でお帰りの方も間に合いますよ〜♪(笑)

2011年8月24日水曜日

「時雨」か「豪雨」か




















昨夜、テレビをつけずにパソコンに向かっていたら
窓の外から虫の声が…

ああ、秋になるんだなあ

久々にゆっくり大きく息を吸いました

家の周辺には樹がいっぱい生えているので
毎夏、「蝉時雨」がものすごいです。
アブラゼミがおもで、ミンミンゼミが少し入っています。
ツクツクボウシはあまり聞かないかな
夕暮れ時はカナカナ……って、なんでしたっけ。ヒグラシ。

「時雨」…というと藤沢周平的な情緒とはんなり感がありますが
余りに蝉が多いと時雨を通り越して
もはや「豪雨」ですね。

それでも、めいっぱい夏を生きている
その感じがたまらなく好きです

その切なさが、何かこう、役者稼業に似ているというか
祭りのように舞台をやって、終わるとなーんにもなくなる
それは切ないもんです。

小さい頃
まだ役者なんてやろうとは思っていなかった小さい頃
夏の終わりを感じると悲しくてやりきれなかった
やりきれないという言葉も知らなかったから
夏が大好きだったけれど、夏のおしまいは胸が痛くなって苦手だった
それでも夏が好きだった

この胸の痛みが切なさだと分かったのは
ずいぶん大人になってから

いまでも、公演が始まるまでは大好きだけど
終演日を予感するようになると
私の中ではおいとまする準備が進んでいきます。
たぶん、急にすべてが終わってしまうと胸が痛いから、かな

やっぱり前世は蝉かも(笑)

ようやっと最近、秋や冬も少しいいかな
と思うようになってきました

少しは人間らしくなってきたのかもしれません。


2011年8月19日金曜日

「フクシマを奏でる」ありがとうございました!

あ。
暦を見たら、もうひと月近く経っていました。

すみません。福島ツアーを丁寧に思い出していたら、こんなに時間がかかってしまいました。

7/26に吉祥寺で開催した、フクシマシリーズ第2弾「フクシマを奏でる」。130名ものお客様がお越し下さいました。
本当にありがとうございました。
今回も本当にみなさまのあたたかい“思い”が
会場中に満ちあふれました。そしてみなさんの思いはきっといつか必ず大きな力になると感じました。

また、7/28の夕方には武蔵野三鷹ケーブルテレビ「デイリー武蔵野三鷹」でとても丁寧なリポートを流して頂きました。ありがとうございました。



今回は福島ツアーの直後だったこともあり、ツアーコンサートを体験して頂きながら、私達が福島で実際に見てきたことのご報告と、避難所で知り合った現地の方々の今の言葉をご紹介し、和合亮一さんの「詩の邂逅」から富岡に住む女性のインタビューを朗読しました。




福島で起きている出来事を忘れないように、と始めたこのイベント。
今回は福島の今を東京の観客の皆さんに我々なりにお伝えしようと思いました。

会場には福島出身の方々も多くいらしていて、故郷福島がこんな風になって本当に悔しい、本当に怒っている、そしてどうかこれからも福島をよろしくお願いします。
そう仰っていたのが心に突き刺さりました。

前回に引き続き来て下さった方々、新しく吉祥寺で出会った福島にゆかりのある方々…。このイベントを通じて、人と人のつながりが拡がっていると感じています。それはとても小さなエリアの小さなつながりかもしれません。しかしこれからは一人一人が考え、声を上げることが、意思表示をすることが必要です。


本・当・は

だーーーーーんっと日本中で力を合わせて、不抜けた永田町をひっくり返して、あたまがメルトダウンしている迷惑な瓦礫的おっさん達を根こそぎさっぱりと片付けて、知恵と行動力と想像力を持った人達の力を結集して、不明瞭な物事をざくざくと明解にしてですね、しがらみ?利権?残念でしたもう終わり〜!カ〜ン♪と鐘を鳴らして、この福島の皆さんの宙ぶらりん状態を早く何とかしたいです。野放しで汚染されていくこの国をどうにかしたいです。

一人一人が気づきましょうなんて段階はとっくに過ぎていて、ごんごん空気を動かしていって、泊原発再稼働などという頭の悪い決定など端からさせない、そういう段階にしたい。

フクシマシリーズはこれからも続けます。
どうかこれからも皆さんの思いと力を持ち寄ってください。
よろしくお願いします。



イベントやってない時も、鼻息荒く、怒りまくっています。

血管が切れそうです。

きっと皆さんもそうだと思います。
くれぐれもご自愛下さい。


2011年8月16日火曜日

福島ツアー日記 その4 川内村〜白河市(終)

翌朝、ブルースとアンディと私は、犬のハヤテ君(めちゃめちゃかわいい子なのだ)とともに、近くの山を散歩しました。日差しがぎらぎらと照りつける中、ところどころに家と田んぼが広がる山あいの緩やかな坂道を登っていきます。川沿いの木々には植物が絡み付いて地面に濃い影を落としていました。

とても静か。


ズボッと出てきたはやて
林業を営むお宅のすぐ脇の山に小さな鳥居があり、私たちはそこから細い山道を登りました。まもなく小さな小さな古い祠のまえにたどり着きました。山の神様か雨乞いの神様か、この地に住む人々が代々、山とともに生きてきた証。

ブルースは祠の脇を通り過ぎ、さらにその先の尾根道をずんずん進んでいきます。190センチ超のブルースが露払いのように、蜘蛛の巣を振り払い絡まりながら「くもさんごめんなさいね~、オー、納豆巻きネ~」とかいいながらとても嬉しそうに登っていくのです。ブルース以上に嬉々としているのがハヤテでした。先になり後になり時折茂みの中に見えなくなったと思うと、思いがけないところからズボッと飛び出してきます。





「あっちの方向に第1原発があるネ」

立ち止まってブルースが指差す方向を私たちは眺めました。
あの山の向こうに無残に崩れ落ちた原発の建屋がある……。

うしろはいわき方面の山
この山には放射能が降り注いでいる、私たちが分け入ってきた尾根道も間違いなく汚染されている……鋭い爪で心臓を引っかかれたような痛みが走りました。

取り返しの付かないことを、本当に取り返しの付かないことをしたのだ。私たちは。チェルノブイリの今を思うと暗澹たる気持ちになりました。

「ここが終点」

ブルースが立ち止まった先を見ると鳥居と祠がありました。ここの鳥居はとてもめずらしい!ブリキの煙突でできているのです。まるでオズの魔法使い!お参りをして、今来た道を引き返しました。帰りは一番小さい私が先頭。後ろの大男たちは結局、蜘蛛の巣だらけになりました。


帰り道、避難して留守だという隣家からじーーっと
こちらを見る視線が……?


山羊。。。。。おどろいた。剥製ではなく生きている山羊さんでした。
山羊はこっちを見たまま、ひどく大きなため息を一つ、つきました。

その後、ブルースとアンディは目の前の川でひと泳ぎ、大満足の様子。冷たいのに!










いよいよ、私たちは白河市に向かって出発しました。

行きがけに草野新平の天山文庫に立ち寄りました。しまっていたけれども、美しい家屋と庭のたたずまいは見事。















白河に近づくとむわっとべたつくような暑さが襲ってきます。街中は圧倒的に緑が少ない。山から下りてきたばかりなので余計にそう感じました。

白河総合運動公園の仮設住宅は街に近くて、幅広い世代が入居しているそうです。
仮設住宅の集会所はどこも同じ造りで、到着後、早速私たちは準備に取り掛かりました。日曜日の午後で、出かけている人も多いらしく、今までの中で一番お客様が少なかったのが少し残念でした。でも音楽好きなわんちゃんがとってもおとなしく聴いてくれたのがとても嬉しかったです(笑)。



 さあ、また車に荷物を積んで、一路、最後のコンサート会場である関の里に向かいます。途中、いろいろと足止めをくって、会場に着いたのが予定よりもずいぶん遅くなってしまいました。待ってくださった皆さん、ごめんなさい!ありがとうございました!


このホテルの宴会場は音の響きがとても良くてのびのび演奏することができ楽しいひとときでした。






3日間5カ所のコンサートが終わりました。


もっと長い時が経ったようです。沢山の方々にお会いしました。震災は悲しいことだけれども、このことがなかったら出会わなかった一期一会の出会い…。音楽と共に一緒に笑って泣いて歌って。皆さんにとって少しでも気晴らしのひとときになれば本望です。これはカート&ブルースが一番はじめに言っていたことですが、来るたびに私達の方こそ沢山の優しさと元気をもらいます。
名残惜しくて、東京に帰りたくない、そんな気持ちになりました。
また、秋に伺います。それまで福島の皆さん、どうか、お元気でお過ごしください。ありがとうございました。(終)



2011年8月8日月曜日

福島ツアー日記 その3 相馬市〜川内村

仮設住宅での演奏を終えると、また雨が降り出しました。私達は今夜の宿泊地、川内村に向かって出発しました。

川内村はカート&ブルースの大好きな、とてもお世話になった村です。

途中、津波によって運ばれた船がごろごろと畑の中にあるのを間近で見ました。海から4キロも離れた場所にもかかわらずです。案内して下さった方の家の1メートル手前までクルーザーが流れてきて間一髪だったとのこと。






















6月すでに雑草は伸びていた


川内村へは、飯舘村、川俣町を通るルートで行きました。

飯舘村の田んぼに生えた雑草がひと月の間に驚くほど伸びて、明らかに荒れた様に感じました。丹精込めてた田が荒れていくのをただ黙ってみているだけなんて、農家の方には拷問に違いありません。

「飯舘牛」という看板が街道のそこかしこに立っています。

先月初めて通ったときは見えない放射能の恐怖を感じましたが、2度目の今回は恐怖よりも荒廃していく里山の風景が重くのしかかります。
ひと月でいっそう荒れている







この美しい豊かな大地が、空気が、森が、山が、放射能によって蝕まれていく。

取り返しの付かないことを国と電力会社はやってしまった。(そしてわれわれはそれを許してしまった。)

彼らはまだそのことを自覚していない……
飯舘の風景を見ながら、立ち入ることのできない20km圏内の町々のことを思いました。まだ行ったことのないそれらの町。一体どうやったらこの大切な土地を、住んでいた人達の手に返すことができるのだろう??
どうすればいいのか…科学者でもない我々に何ができるのか…

峠を越えてすぐの川俣町の田んぼ

飯舘村と川俣町の境はちょっとした峠になっていて、峠を越えて川俣に入ったとたん、鮮やかな稲の緑色が目に飛び込んできます。人々の変わらぬ暮らしがそこにはありました。

そのギャップは衝撃的です。飯舘と川俣の境界にあるものはなんなのか…。






長いドライブの果てに雨模様の日もすっかり落ちて、自分たちの車のヘッドライトしか見えない真っ暗な川内村に到着しました。住んでいらっしゃる家もちらほら見えますが、おおかたはひっそり静まりかえっています。伸び放題の雑草で道幅が狭くなったところもたくさんありました。カエルが鳴いています。ようやく、ブルースの友人のお宅に到着しました。

真っ暗で見えないけれど、すぐ家の前には川が流れており、はっきりと水の音が聞こえ、夜露に濡れた木々のむせかえるような深い緑の匂いがあたりを包み込んでいました。

家の中からは大勢の笑い声が聞こえてきました。

その夜、東京に避難中の主一家を始めあちこちに避難している方々が集まって、おいしいお料理をいっぱい作って私達を歓迎して下さいました。

その自宅兼工房はスローライフそのものの生活をこれまで送ってきた、素晴らしいところです。おいしいお酒でかなり(私が)酔っ払った頃、ブルースが「詩の朗読と即興をやりましょう!」と言いました。今回、コンサートの中で私は福島県出身の草野心平の『麦とゴッホ』を朗読しています。毎回、ブルースとカートとアンディはその詩を聴いて即興で演奏するのです。それはそれは素晴らしい演奏です。村には草野心平の記念館もあり、皆さんよくご存じの詩人です。

今夜ここに集まって下さった方々のために、私達は「麦とゴッホ」を読み、演奏しました。すでにきもちよく酔っていましたから、いささかコントロールが効きませんでしたが、草野心平の言葉が自由に漂い始め、尺八の澄んだ音色が麦畑に吹き渡る風のように、ディジュリデューの低い音が家に共鳴して、私達はまさに大地と自然そのものに包まれました。とても不思議な体験でした。

ほのかな明かりの中で私達は遅くまで語り合いました。

続く。


2011年8月4日木曜日

福島ツアー日記 その2 喜多方〜相馬市


 カート&ブルースはそれぞれ25年以上、日本に住んでいます。震災後、本国の親族や知り合いからすぐに帰ってこいと言うメールや電話が沢山来たそうです。そのときになぜ自分が今、ここ、日本にいて、日本の楽器をやっているのか、ということを自分に問い直し、説明し続けたと彼らは言います。なかなか理解してもらえなかったそうです。福島には友人も多くいて、彼らが困っているときに、なぜアメリカ人と言うだけで自分が日本から逃げなければならないのか。それはできないと。








アンディも来日25年以上。偶然震災の前日にオーストラリアに戻っていて、周りからはとうぜんもう日本には戻らないよね?と言われたけれど、やはり自分の仕事も生活も日本にある…戻るのは当然だと、日本に戻ってきたそうです。




私は彼らと行動を共にして、演奏のすばらしさはもちろんのこと、人柄のすばらしさに心惹かれました。彼らが日本の伝統楽器を自分の体の一部のように演奏するのを見て,日本の伝統文化の可能性を感じました。
喜多方でライブをご覧になった方が、このブログにコメントしてくださいましたように、家業の日本の伝統文化である醸造業をこの状況で続けていくが厳しいと思っていた矢先に、かれらの演奏を聴いて日本の伝統文化のすばらしさを再認識し、もう少し頑張ってみようと仰ってくださいました。

ああ、すごいな。と。嬉しくなりました。









さて、その晩は、塩川の民宿「花菜」に泊めて頂きました。
白い猫ちゃんがいて、言葉を話しているみたいな感じの子で、すーっとやってきて私の部屋に入りたがったのですが、もう寝るからごめんね、と襖を閉めたら、隣の3GUYSの部屋の襖を自分で開けて入っていって、寝ているブルースとアンディの枕元でものすごく怒って、にゃーにゃー!ひとしきり鳴いて出て行ったそうです。ごめんにゃー。猫ちゃん。(とブルースとアンディ。)

翌朝は自家製の野菜づくしのおいしい朝ご飯!ごちそうさまでした!

出がけには昨日のライブを聴いてくださった方が、わざわざ訪ねていらしてとても嬉しかったです。
さあ、西から東へ大移動、一路相馬市へ向かって出発です。



相馬野馬追で道が混んでいるかもと早めに出たら早く着いてしまったので、すこし海岸の方を見ることにしました。

 何もない。。。

ここにきっと集落があったと思われるかすかな跡が地面にあるだけ。

どんな人達ががここに住んでいたのだろうと思い巡らせても手がかりになる物さえもう何も残されていませんでした。













私達は車の窓から津波の痕跡をだまって眺めながら車を走らせました。










仮設住宅に向かう頃には冷たい横殴りの雨が降り始め、半袖短パンの私達は震えるほど。そんな中、偶然、野馬追の行列に遭遇しました。


雨が降り込むのも構わず、夢中でシャッターを切りましたが、ちょっと遠くてイマイチ〜。でも見られないと思っていたのでとても嬉しかったです。







仮設住宅を訪ねるのは初めてです。
まさに報道で見たとおりでした。
小さな集会所に沢山の方が集まってくださいました。元気な子供もいて我々の周りをジャンプしまくってましたね(笑)さしずめ、遊んでくれるのかと思ったのに、なんでこのおじちゃんとおばちゃん達は音楽ばっかりやっているのさ、といったところでしょうか(笑)。でも最期はお箏に興味を持ってカートと一緒にぼろんぼろん弾いてましたね。カートはお箏に興味を持ってくれたことをすごく喜んでいました。


集まってくださった方々に、どちらにお住まいだったのですか、と伺ったらこの下の海の近くだと仰ってました。

たぶん

私達が今さっき見てきたところです。。。


私達はなんと答えればいいか言葉が見つかりませんでした。


でも、終始、和やかな笑顔に満ち溢れた1時間。最期は皆さんの新相馬節をお聴きして、そのきれいなハーモニーに感動!また、皆さんにお会いしたいなあ。


続く。