2013年1月14日月曜日

子どもも大人も読んで欲しい『みえない雲』

明日は成人式。

毎年この日は、都内某ホテルで「新内協会」の新年会があり、私も末弟子として参加します。ちょうど同時刻には、向かいの宴会場で、某女子大の新成人の祝賀会が開催されており、艶やかな振袖姿のぴっちぴちの新成人が、植え込みすぎた花壇のようにごっちゃりとたむろしている光景をまぶしい思いで見ながら、我が新年会の会場に入りますと、新年の厳かな雰囲気漂う中に、かつてぴっちぴちでいらっしゃった師匠方やお弟子さん達の粋な着物姿が目に飛び込んで参ります。

「ぴっちぴち」と「粋」は反比例するのです。

さて、話は変わりますが、
先週、私の住む地域の小学校の理科の授業で、原子力のことをやったそうですが、子供たちのほとんどが、福島での事故の実態や原子力政策の真実や被曝のことを知らず、「電気ないとやばいから原発いるでしょ」「脱原発デモわかんねー」と言っていたそうで、先生も「原発ないと電気足りないからいるよねー」と教えたそうです。

私は直接授業を受けていませんから、先生がそれ以外に何を話したか、どんな材料を提示して子供たちに議論させたかわかりません。しかし、結論を聞いてがっくり。
ブルータスお前もか、先生あなたもか。

指導要領のせい?それとも先生自身の不勉強?
この期に及んで、政府と電力会社の言う通りに電気が足りないというイメージを子供たちにすり込んでいいのですか?電力が足りないというけれども、一年間8760時間のうちピークを越えたのはわずか5時間で、それもその時間の電気代を高くすれば容易に下げることが出来るというデータもあることを子供たちに教えましたか?ネットでいくらでも調べられる時代に、子供たちに自ら考えるチャンスを作ってやらない先生はだめですよ。上司に逆らえない場合は、せめて、原子力に対してはいくつもの意見があり、それを踏まえて君はどう考えるか議論する場にして頂きたい。こどもから考えるチャンスを奪うのは大人の身勝手です。


さて、改めて、皆さんにご紹介したい本があります。

今月号の通販生活の付録がこの映画のDVDだそうで、タイトルを耳にした方も多いかも知れません。
『みえない雲』
(グードルン・パウゼヴァング著/高田ゆみ子訳/小学館文庫)



『みえない雲』コミック版
(アーニ・ハーゲ画/グードルン・パウゼヴァング原作/高田ゆみ子訳/小学館文庫)
※こちらは序章に「詩」が掲載されています。



これはチェルノブイリ原発事故の翌年に書かれた小説で、著者のパウゼヴァング女史は当時、学校の教員をしており、チェルノブイリ事故の情報が子供たちにほとんど与えられなかったことから、子供たちが考えるきっかけにして欲しいと、あえてフィクションの小説として書いたそうです。ざっくりあらすじを申し上げると、主人公は中学生の女の子。西ドイツの原発が重大事故を起こし、彼女は家族を失い、急性被曝症で苦しみつつも自分の運命と向き合って生きていくお話です。

3.11以前の日本だったら、この小説は近未来のSFパニック小説だったかも知れません。しかし福島第一原発事故を経験した今の日本にとっては、残念ながら想像するに難くない小説となりました。もちろん、全く同じ事が日本で起こっているわけではありません。福島で避難を余儀なくされている方がお読みになったら目をふさぎたくなるかもしれません。不安に思われるかも知れません。

私はこの小説と映画のことを、昨年の3月に訳者の高田ゆみ子さんの講演で知りました。映画も見ました。高田さんのお話で素晴らしいと思ったのは、この本は20数年間、ドイツとベルギーの中学校の副教材となっていて、中学生がこれを読み、原子力のメリットデメリット含めて詳しく子供たちによる議論がなされてきたと言うことです。そういう人たちが今ドイツでは大人になっているということです。

子供たちは物事の本質を捉える能力があります。ぜひ、皆さんもお子さんと一緒にこの本を読んでみてください。そして、そこからいろいろ調べて考えることをはじめてみて下さい。


さて、以下の画像は去る1/5(土)に「PRAY FOR JAPAN 2013」という中高生がプロデュースするコンサートで、『みえない雲』コミック版序章の詩を朗読したものです。チェルノブイリ事故一ヶ月後にドイツの男女7人のグループによって書かれた詩は、まるで今の日本の状況のようです。間もなくアーカイブの公開が終わってしまいますので、よろしければぜひお聞きになって下さい。2つあるビデオクリップの上にある1つめの1:03〜です。
(朗読の前後に私が歌を歌っておりますが、それはご愛敬と言うことでお許し下さい。)

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/47491

コンサートをプロデュースした中高生の子供たちに私は一抹の光を見ました。彼らの意欲や素直さ、素晴らしさ。どうかもっと多くの子供たちがつながって、どうしようもない大人どもを乗り越えて、この国の希望となってほしい。そう願わずにはいられません。

2013年1月3日木曜日

いったい誰から何をとれもろせばいいのか?!

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

初詣でおみくじを引きました。

「大吉」でした。

…惣領の役を務め…国を治め、廃れたるを起こし絶えたるをつぎ…と、書いてありました。

…えーと、今年、私は「首相」になるかもしれません。

その節は、皆様どうぞご贔屓に。アベちゃんより滑舌はいいです。

ブログちっとも更新しないね、と年末に言われましたが、昨年は公演やチャリティライブでかけまわって、夕鶴のおつうのように一年間のエネルギーを使い果たしたところへ、あの年末の衆院選の結果です。これからどうすべきかをひとり心の内で考え込む日々でした。

言葉を失いますね。。。。ほんとに。

「いっぽんをとれもろす!」とアベちゃんが滑舌の悪さを今更ながらに披露した衆院選の脱力系イメージ広告は、実は「ニッポンの権力をとれもろす」という誠に正直な広告であったわけで、この首相就任後の動きは半年前から霞ヶ関と準備を整えていたとの噂が納得できる素早さで、怒りを通り超えてもう呆れて言葉が出ません。

なんなんだろうなあ。。
何をしたいのか、さっぱり理解出来ません。私たち国民との感覚のずれも理解出来ません。復古調、懐古趣味バリバリ政治を持ち出し、使い古しの総棚浚い、みぞうゆうの太郎ちゃんまでにやにやと登場して、もう本当にゲンナリです。

はあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。(ため息)

もうどこから手を付けていいのか分からないゴミ屋敷と同じだ、これは!

こういう時は…地道にひとつひとつ片付けていくしかないのです。今年も私たちのような一般市民が、世の中と政治に目を光らせ、黙々とやるべきことをやり、静かに声をあげていくしかありません。

3.11がまるでなかったかのようにされることだけは絶対にあってはならない。いまも福島第一原発の事故は収束しておらず、多くの作業員の方々が被曝しながら作業をしています。そして、不条理な避難でこれまでの生活を突然奪われた福島の現状から目をそらしてはならないのです。

今年もよろしくお願いいたします!

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さて、新年の予定をいくつかお知らせします。

★1/5(土)16:00
500人でOH HAPPY DAY!
「PRAY FOR JAPAN 2013 中学生・高校生がプロデュース 震災支援コンサート」
に出演します。詳細はこちら→http://www.clubwpj.com/concert/

場所:中野ゼロホール 入場料:大人1000円こども500円(2人以上で割引有)

高校生中・高生がプロデュースする震災支援コンサートに、私も出演します。ぜひ、皆さんお誘い合わせの上、応援に来て下さい!

本当にすべての準備と運営を中高生のボランティアがやっているんですよ!すばらしい!震災後から閖上地区などでボランティア活動を行い金曜日官邸前デモなどにも積極的に参加している彼らが、子供たちの視点から被災地の子供たちを支援したいと企画したコンサートです。大人の皆さん、どうか彼らを応援してあげて下さい。そして、会場で行われる「あしなが育英会津波維持基金」と「閖上復興こども会議・閖人」への募金にもぜひご協力下さい。子どもの皆さん、一緒に楽しみましょう!元気いっぱい高校生バンドにわくわくすると思います!

出演者は
アクションキッズ
高校生バンド
増田太郎(Vn)
金子あい(歌・朗読)&原とも也(ギター)
彩-ahya-(歌)
MCは前田兄弟

*参考までに私のおおよその出演時間は17:30頃から約25分間です。
歌を2曲(何を歌うかは当日までヒミツ!)
朗読はG・パウゼヴァング「みえない雲」よりチェルノブイリ事故1ヶ月後にドイツで書かれた詩を読みます。26年前と今と変わらぬ状況に衝撃を受けます。原とも也さんのソロもあります。ぜひ聴きにいらして下さい!

★1/19(土)16:00〜18:00
『原発、いのち、日本人』(集英社新書/1/17発売)の出版記念パーティー
(みんなで決めよう「原発」国民投票新年会)
で司会を務めます。イベントの詳細はこちら→http://kokumintohyo.com/schedule

場所:YMCAアジア青少年センター 国際ホール 入場料:3000円(本2冊と軽食付き)


★3/9(土)女性「九条の会」8周年の集い
高橋哲哉さん講演「今、日本国憲法最大の危機!!」
で司会とオープニングで朗読を務めます。

場所:武蔵野公会堂 入場料:前売1000円

★3/11(月)フクシマを思うシリーズ第8回
「脱原発で新しい社会経済システムへ」
講演:金子勝
演奏:アンディ・ベヴァン、クリストファー・ハーディほか、
朗読:金子あい

皆様のご参加をお待ちしております。