2013年5月25日土曜日

La Dispute “いさかい” ことはじめ


6/12〜14に上演するマリヴォー「いさかい」。

只今、絶讃ご予約受付中です!

なかなかご予定が決まらないという方は当日でも大丈夫ですので、お気軽に足をお運び下さい。お待ちしております。

さて、いったい「いさかい」のどこが面白いの?といまいち乗り気にならない方のためにも、これから、この戯曲の面白さを私なりに少しずつお伝えしていきたいと思います。なにぶん、フランス文学・歴史の専門家ではありませんのその点はどうかご容赦を。


マリヴォーは18世紀のフランスの劇作家で、「La Dispute いさかい」は今から269年前、1744年に書かれました。ものすごくおおざっぱに言えば、フランス革命の少し前で、ルイ15世のころ。マリーアントワネットの登場はもう少し後です。ボーマルシェ「フィガロの結婚」も同時代。「ベルサイユのばら」を想像していただければいいかもしれません。日本は江戸時代、暴れん坊将軍 徳川吉宗の最後、近松門左衛門の頃です。(…といっても私もピンと来ないけど。)

マリヴォーの戯曲の中でも、この「いさかい」は、ほとんど“18世紀”というものを意識させないと言ってもいいと思います。まるで現代劇かと思うくらい今の私たちにすんなりはいってきます。

この戯曲は二重構造(劇中劇のようなもの)になっていて、始めと終わりに王侯貴族が出てきます。真ん中が貴族の思惑による「ある実験」が行われるのですが、それがまあ、人間の本性というものをマリヴォーはよく観察していて、面白い。さっき近所のカフェで書きあげたんじゃないかと思うくらい現代の私たちと変わらぬやりとりに思わずにやりとします。

その実験とは…
20年ほど前から宮廷では、“恋愛において最初に「不実」を行うのは、男と女のどちらが最初か”という論争が起こっていました。そこで先王は、生まれたばかりの男女4人の子ども達を人里離れた森に一人一人別々に隔離し、黒人2人の世話係の他は、誰にも会わせず育てました。ちょうど今日、その子ども達を生まれて初めて、自分以外の「人間」と出会わせ、何が起こるかを見物しようという壮大なものでした。

…王侯貴族というのはすごい実験をしますね。

実は、彼がそのような戯曲を書いたのは、時代の影響が大きいと言えます。18世紀のフランスは絶対王朝の凋落が始まり、フランスは外交的失敗を重ね、非キリスト教世界との接触を通じて従来の規範が動揺しはじめました。あらゆる分野で前世紀を乗り越えようという動きが起こりました。哲学者は宗教による束縛から脱して一切を理性の立場から批判しようとし、喜劇作家もそれぞれ独自の方法で前世紀を乗り越えようとしました。17世紀の権威精神・絶対性・芸術的完全性に代わり、批判精神・相対性・実験的試みが力を得てきます。人間の感情や本能を重視するのが「いさかい」の中に大きく反映されていると思います。

そう考えると一見何気ない台詞が大きな意味を含んでいるように思えてきました。戯曲の謎解きにやりがいを感じます!

サロン文化が花開き、礼節が重んじられた18世紀フランスの上流社会を代表する貴族と、彼らの「実験」に出てくる4人の子ども達の話はまた次回。




<公演詳細>
art unit ai+ 実験公演
マリヴォー「いさかい」
La dispute de Marivaux

【原作】マリヴォー【構成・演出・出演】金子あい【音楽・演奏】永田砂知子
【美術】 トクマスヒロミ 【照明】横原由祐

【日時】
2013年(全5回公演、開場は開演の30分前)
6月12日(水) 19:30開演
6月13日(木) 14:00開演/19:30開演
6月14日(金) 14:00開演/19:30開演

【会場】
Performing Gallery & Cafe 絵空箱  http://esorabako.com/
(地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅1番出口徒歩2分)
新宿区山吹町361誠志堂ビル1階

【料金】
前売 2,800円/当日 3,300円/学生・研究生2,300円
 (一名につき料金+1ドリンク700円オーダーが必要です。 全席自由)

【前売発売開始】
2013年4月8日(月)  

【主催】art unit ai+

【ご予約・お問合せ】
art unit ai+ (アートユニットアイプラス)
tel:090-6707-1253
e-mail:auaplus@gmail.com

※お名前、ご住所、電話、観劇日時、枚数を明記の上ご予約下さい。


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