2011年11月11日金曜日

福島で「詩の礫」を朗読するということ



今日は、といっても日付が変わってしまったけれど、11月11日。震災から8ヶ月。
もう8ヶ月。まだ8ヶ月。
それぞれに必死に生きた8ヶ月だったと思います。

先日11月6日に、福島市で行われた琴古流尺八若竹会の主催する邦楽演奏会「竹と絃の世界」にお招きいただき「和合亮一・詩の礫」を朗読してきました。会場は福島テルサFTホール。とてもきれいで音のいいホールでした。尺八と箏の純粋なる邦楽演奏会で、震災の詩を読む…滅多にない企画です。主催のかたの新しい事への挑戦がなせる勇気ある企画でした。
福島に行って(特に)和合さんの詩を読むときは、いつも、私でいいのだろうか、と不安になります。被災したまさに張本人である大勢の福島の方々を前に、私など無力だと思うからです。

しかし、今回はちょっと違いました。
私の出番は、一番最後。
福島県内の実力ある若手演奏家が次々と演奏するのを聞きながら
箏や尺八の音色がひとつひとつ粒だって胸に響き、とても癒されました。
福島の演奏家の方々とご一緒できることがとてもうれしくてわくわくしました。
そして、詩の礫。
お琴の前奏が始まりました。
十七絃から一変して二十五絃の低い音へ。
津波を思い起こさせる低い不気味な音色。
即興です。ぞくっとしました。
会場の皆さんが息を殺して私の声を聞いています。
私は読み進める内に8ヶ月経ってもなんら事態は進展しておらず
和合さんの詩の言葉がいまもそのまま、いや、なおいっそう、心に刺さる。
だんだん私は憤りを感じてきました。

最後には、会場と私の声と演奏者とすべてが一つになって
和合さんの詩の言葉を共有したような気がします。

力のある言葉って本当にすごいな…と改めて
詩の礫のすごさを感じました。

お客様になりかわって朗読した、そんな気が強くしました。
もし、それでほんのわずかでも皆さんが心を表に出せるなら
無力な役者でもお役に立てる…
それがうれしかったです。

また、たくさんの方々と巡り合うことができました。
何よりの喜びです。

また福島に伺います。
それまで皆さんお元気でお過ごしくださいね。




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